内容説明
共食の政治・文化史を通して読み解くフランス・ユダヤ人と共和国―フランスという国の特質は何か―。
目次
序論 豚の回帰
第1章 啓蒙と食―「私たちはあなたがたと一緒に食べるわけにはまいりません」(モーゼス・メンデルスゾーン)
第2章 革命期―「ノウサギを食べること、それもあなたがたと一緒に食べることを私に強いる法律があるとでもいうのでしょうか」(クレルモン=トネール伯爵)
第3章 革命から革命へ―革命時の宴会、市民権、食
第4章 絶対共和国―サロモン・レーナック、ユダヤ教改革、食に関する「迷信」
第5章 スイスの青天の霹靂―儀礼的屠殺禁止の問題
結論 想像上の内的境界線の上で
訳者解題 食卓のざわめき―ピエール・ビルンボームからプルーストへ
著者等紹介
ビルンボーム,ピエール[ビルンボーム,ピエール] [Birnbaum,Pierre]
1940年生まれ。専門は政治社会学、フランス近代史。パリ第1大学とパリ政治学院で教授を務めながら、ニューヨーク大学やコロンビア大学でも教鞭を執り、現在、パリ第1大学名誉教授
村上祐二[ムラカミユウジ]
1978年生まれ。京都大学文学部准教授。専門はフランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アメヲトコ
5
2020年刊、仏語原書は13年刊。フランスの食文化において重要な位置を占める豚。この肉を用いた料理で食卓を囲むことはフランス国民としての一体性を確認することであるといいます。しかしこれを重大な禁忌とする宗教もまた存在します。本書は、フランスのユダヤ人をテーマとして、彼らがユダヤ教の戒律を守ることと、普遍性をもった共和国の一員であろうとすることの狭間でどのように葛藤し、折り合いをつけようとしたかが描かれます。豚は当然ムスリムにおいても禁忌であり、本書の投げかける問題は決して過去のことではありません。2020/12/14
Mitsuhito Shiraha
0
同じ釜のメシを食う、ことの意義は日本よりも数段フランスの方が強かったということか。 一方、国を失った民であるユダヤ民族にとって「自分たちのやり方」を捨てて他国に同化させてしまう事によって民族的アイデンテティの喪失に危機感を募らせていた。 昨日今日のネトウヨ言説のような優越的国家主義と「嫌ならこの国から出て行け」論はいやはや宗教的バックボーンがあると強靭である。豚を食べるかどうか、の論議に費やされる言葉と労力は時に滑稽だが21世紀に至って遂には敬服の域に達する。2023/05/14
Jun
0
ヴォルテール「一緒に飲み食いしないと、市民になれない」vsメンデルスゾーン「一緒に飲み食いはできないが、市民になれる」セルフサービスを導入することで、献立を多様化する。→食べ物がアイデンティティの争点になるのを避けられる2021/10/09
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