内容説明
ルイ14世時代の政治と文化の交錯を、回想録を読み解きながら考察。歴史と文学の新たな関係の構築を目指す意欲作!
目次
第1章 十七世紀フランスのメモワール
第2章 悪態と忠誠―コリニー伯の『メモワール』
第3章 血統の重み―オメール・タロンの『メモワール』
第4章 陰謀と英雄―レ枢機卿の『メモワール』
第5章 文学の仮面―ラ・ゲット夫人の『メモワール』
第6章 礼儀と寵愛―ナヴァイユ公の『メモワール』
第7章 家名の偉力―レギュス侯の『メモワール』
第8章 神話の浸透力―ブリエンヌ伯の『メモワール』
著者等紹介
嶋中博章[シマナカヒロアキ]
1976年北海道苫小牧市生まれ。1999年奈良大学文学部卒業。2004‐2005年パリ第3大学留学。DEA(Litt´erature et civilisation francaises)。2009年関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(文学)。現在、関西大学・京都産業大学他非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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『メモワール』、しばしば回想録と訳されてきたテクストを読み解きながら歴史記述の問題を斬新な視点から提起した好著。内容の真偽ではなく、メモワールが書かれたコンテクストに立脚し、それを書く行為の方に焦点を合わせ、さらにはそれを読む読者への作用までも視野に入れながら、ルイ14世の時代の政治的事件の諸相を読み解いてみせる。著者のような視点がこれからの歴史記述や歴史認識には必要になってくるにちがいない。また、きっちりとくみ上げられた歴史という構築物が持つある種の息苦しさ、密閉感を解消してくれるのではないかとも期待。2014/08/19