内容説明
レベル7の過酷事故となった福島第一原子力発電所。所在地である双葉町の当時の町長、井戸川克隆はその最中、いち早く町民を県外避難へと導いた。東京電力、福島県、そして国の危機管理のずさんさや責任回避に苦しみ、いまだ先の見えない苦境の中にある福島。講演活動、選挙への出馬、そして人気漫画『美味しんぼ』への登場で福島の現実を訴えるなど、孤独な闘いを続けている前町長。その闘いの記録。
目次
3.11。そして避難のはじまり
原発からの避難はどうあるべきか
嘘と偽証の連鎖
なぜ東京電力はトラブルを起こすのか
住民とは、国民とは誰か。為政者は誰を守るのか
健康被害の実態を隠すな
事故を招いたもの
なぜ仮の町が必要なのか
世界は双葉を、福島を、日本をこう見ている
自立する自治体となるために
脱原発は日本自立の証
なぜ知事選に立ったのか
福島と日本のこれから
著者等紹介
佐藤聡[サトウサトル]
フリーランスライター兼エディター。1961年、福島県南相馬市生まれ。出版プロダクションなどを経てフリー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロビン
15
本書で福島出身のフリーランスライター佐藤聡によるロングインタビューに答えている井戸川克隆は、2014年に「美味しんぼ」福島の真実編に登場し「鼻血が止まらない原因は事故の被ばくにある」と訴えた双葉町の元町長として記憶されている方もあるかと思う。事故当時、避難指示を出すのみの政府を頼らず、独断で町民を埼玉に避難させた唯一の首長である。一読、国や福島県、東電に対する井戸川さんの深く、至極まっとうな怒りを強く感じた。話も理路整然としており、危機対応力や決断力・行動力・稀有の責任感を持つ凄い方と感銘を受けた。良書。2024/03/14
バリバリブーン
1
被爆地の首長として、被災時、被災後の国や福島県の対応を痛烈に批判している。 批判される側にも言い分があるとは思うが、現地の生の声として真摯に受け止め、対応するべきと思った。 少なくとも、緊急時には、想像以上に国の行政は当てにはならず、個人の判断が重要なのだと強く感じました。2015/06/06