内容説明
「女子高生コンクリート詰め殺人事件」1989年3月、ある少年の自宅一室で、4人の少年たちが41日間にわたって女子高生を監禁、輪姦、暴行の末、殺害。いったい何が子どもたちを変えていったのか。親たちは何もできなかったのか。家庭と学校、社会が抱える病巣に鋭く迫る。
目次
第1章 都会のなかの聖域
第2章 父親役に疲れて
第3章 孤立無援のなかで
第4章 夫婦葛藤のはざまで
第5章 暴力の果てに
第6章 ほんとうの豊かさとは
著者等紹介
横川和夫[ヨコカワカズオ]
1937年、小樽市生まれ。60年、共同通信社入社。72年に文部省(現文科省)を担当、論説兼編集委員を経て現在はフリー・ジャーナリスト。「仮面の家=先生夫婦はなぜ息子を殺したのか=」(共同通信社刊)で93年度日本新聞協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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扉のこちら側
82
2017年3冊め。底本は1990年に共同通信社から発行され、こちらは2012年に復刻版として出されたもの。その1年後の2013年までに主な加害者の4人中2人が何らかの再犯をしたというのは週刊誌報道等で有名な話である。強姦やリンチ等で関わったとされる者は100人を超すと言われるこの事件。概要はわずかに触れられるだけで、大半が4人の少年の不幸な生い立ちを辿るというスタイル。(続)2017/01/07
鈴
43
女子高生監禁殺人事件。昭和から平成になった年。読んでも読んでも「どうしてこんなことが起きてしまったのか」という明白な答えは出ないまま。親子関係、学校、社会、いろんな出会いが少年たちを狂わせたとしか言えない。どれか1つでも違っていたら、事件は起こらなかったのではないか。少年Aがシンナーで幻覚症状がある中で口走った「タイル屋に帰りたい」が切ない。本当に帰れていたなら事件は絶対起きなかっただろうに。2017/03/01
りい
5
第6章の中の河野美代子さん(産婦人科医)のインタビューで、愛されていないと実感してしまうような育ち方をした子は寂しい気持ちを抱えているという言葉が、このルポ全体の答えのような気がした。子供に寂しいと感じさせない育て方をする・・これはよく言われていることだけれど、親の立場からではなく、子どもの立場からみてどうかをいつも心に留めておくことが大切だと思った。それとともに「父親は優しければ優しいほどいい」との言葉も心に残る。それにしても重い題材。社会に問いかけ、今後こういう事件が繰り返されないようにと祈るばかり。2013/01/07
まこ
3
昭和から平成に時代が変わる頃に起きた、未成年の残虐殺人事件。たまたま自転車で通りかかっただけで、女子高生が拉致監禁されて酷すぎる暴行凌辱を受ける。この事件発覚当時小学生だったし、ニュースを見てもよくわからなかったけど、とにかくむごい事だっていうのは覚えてる。少年たちの生い立ちや家庭環境には同情するが、それだけ。だからといって事件を起こしていいわけない。集団リンチを起こす心理とか、どうでもいい。女性を人として扱わない、母を殴る、その結果だとしても。亡くなった女子高生のご冥福をお祈りします2023/06/22
みひみひ
3
我が子がこのときの犯人たちと同じ年齢に近づくにつれ、本当にこんなことが家の中で起こっていて、母親が気づかないなんてことがあるのかと思う。しかし、最後の章、Cの家庭は典型的なアルコール依存性の、家庭であることがわかるとなるほどなと思う。一見、普通の家庭にしか見えない家庭の中でとんでもないことが起きている。怖いな。女子高生の41日間の地獄を思うと胸が締め付けられる。2013/05/03