内容説明
大学教員の数は高校教員の数に迫る約20万人。超大衆化された大学は大リストラ時代を迎えている。大学にはどんな人材が必要なのか?その基準は何か?明快に答える。
目次
0 大学教授「大失業」時代の到来か?
1 『大学教授になる方法』でいわなかったこと
2 こんな大学教授はごめんです
3 競争で充実か、無競争で衰退か
4 新教養主義の宣揚のために
5 大学教授に冬来たるか?
6 それでも大学教授になりたい人のために
著者等紹介
鷲田小彌太[ワシダコヤタ]
1942年北海道札幌市生まれ。1966年大阪大学文学部哲学科卒業。1972年大阪大学大学院文学研究科哲学・哲学史専攻博士課程修了。三重短期大学教授を経て、札幌大学教授。哲学・倫理学を担当。評論活動、エッセイ、人生書等の執筆も精力的に行なっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
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壱萬参仟縁
5
大学が潰れ、教授がハローワークで求職活動、の時代がくるか。50代で仕事は見つからないと思う。しかも、天国から地獄に転落するわけだから、納得できないだろう。評者もオーヴァードクター(OD)にして仕事は見つからない。学習支援業で食いつないできた経緯がある。OD問題は実は、SNEP(中年無業)問題に転化してきているのが実態ではないか。大学で必要な教師とは、教え好き、官僚やビジネス界の性に合わない、この世界で解けないことを学界で解くという人(038ページ~)。教師は40代まで貧乏(073ページ)。50代まで待て?2013/01/12
きぬりん
1
大学や教授が現在直面しているのは、冬の時代や大氷河期と称されるような異常事態ではない。むしろ、旧態依然たる大学にもようやく一般社会同様の競争原理が稼働し始め、教育と研究に意欲のある大学教授が求められるような、正常化した時代を迎えつつある。この論理は『大学教授になる方法』シリーズに一貫するものだが、白眉とすべきは、その背後にある時代診断・知識人診断。高度情報化社会・消費社会の到来とともに、知識人とは大衆を導く指導理念を提示する者ではなく、「知識を対価にして生きる人」へと変化した。つまり、知は大衆化した。2023/02/27
viola
1
『大学教授になる方法』の鷲田小彌太氏の新刊。紀要は「ほとんど誰にも読まれない」ということはないんじゃないかなぁ。買うわけではないから、読まれているかどうか分からないだけで。日本語論文は殆ど紀要になるわけですし・・・・。偏差値が高いからと言って、「良い」先生がいるとは限らず、授業内容は変わらないというのには同感。四六時中、学問のことが頭から離れない。そんな先生は所謂三流大学の方が多い気がするのですよね。アメリカの院は、日本の院の修論レベルでパス出来るそう。え、そんなもんなの??2012/06/01
_udoppi_
1
大学教授の語る大学教授の実態とその自己批判。現在の大学の大衆性と、大学教授のテニュア制度による致命的な知的劣化の問題性がその価値判断の根拠に置かれている。正直全く知らない世界の話なのでへーそうなんだと思う他ないが、僕は大学という存在がもたらす無形の(貨幣換算できない)社会的価値を信じているタイプの人間なので、現在の教授たちにはもっと頑張ってというしかない。大学に競争原理を導入することの是非については議論があろう。2012/03/20