内容説明
鎌倉幕府は朝廷の所在地である京都から離れた東国を拠点としたが、京都の朝廷と貴族社会は、幕府の成立にどのように対応したのであろうか。本書では、治承・寿永の内乱から承久の乱にいたる時期を生きた人物を取り上げることで、京都から鎌倉幕府の成立を捉えることを試みる。公武政権の協調と対立、京都と鎌倉を結び付けた官人や僧侶の実像、京都の武士社会の変容などについて近年の研究成果を紹介することで、新しい鎌倉時代像を読者に提示することを目指したい。(「はしがき」より)
目次
第1部 内乱勃発から頼朝死去まで(後白河院―希代の暗主か、乱世の梟雄か―(栗山圭子)
丹後局―後白河院晩年の寵妃とその子どもたち―(長田郁子)
九条兼実―内乱が生んだ執政―(海上貴彦)
吉田経房―公武交渉の京都側窓口―(前田英之)
一条能保―京都守護の任務を担った貴族―(木村英一) ほか)
第2部 頼家継承から承久の乱まで(後鳥羽院―公武協調を破り、戦に敗れた権力者―(井上幸治)
藤原兼子―人脈と財力を兼ね備えた側近の女房―(長田郁子)
西園寺公経―幕府と結び、京都政界の黒幕となった院近臣―(樋口健太郎)
源通親―公武協調の礎を築いた御乳父―(井上幸治)
治部卿局―平氏の栄枯盛衰を見つめた女性―(曽我部愛) ほか)
著者等紹介
田辺旬[タナベジュン]
1981年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、東京都立稔ヶ丘高等学校教諭
前田英之[マエダヒデユキ]
1984年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、奈良女子大学研究院人文科学系准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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