内容説明
どこで造られ、誰が、何のために、そこに安置したのか―。鹿児島坊津にて初めて文化財の世界に登場、以来半世紀、九州西側(福岡・佐賀・長崎・鹿児島)にのみ分布し異風を放ってきた石塔の謎に、仏教美術史研究者が挑む。比較考証のうえ基準となる作を突き止め、その故郷・中国への探索行の果てに、中世九州における大陸との交渉の実像、そして東アジアの信仰と造形の歴史が浮かび上がる。
目次
1 はじめに―異形の石塔
2 塔の出現と研究の歩み
3 薩摩塔の輪郭
4 制作地と制作時期
5 基準作の発見
6 薩摩塔の周辺
7 故郷を訪ねて
8 結びにかえて―薩摩塔の背景
著者等紹介
井形進[イガタススム]
昭和46年(1971)、福岡県北九州市に生まれる。宗像市で成人し、九州大学文学部美学美術史専攻卒業後、九州歴史資料館学芸員となり、現在に至る。専門は仏教美術史。九州における信仰と造形の歴史について、調査研究を進めている。平成15年(2003)、「福岡平野と異風ある菩薩像―小田観音堂の千手観音立像を中心に―」で、第10回鹿島美術財団賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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