内容説明
ヤスパースの精神医学から実存哲学への道程を詳らかにし、その起源と深化を探る。そして、“実存”とは何かを問う大著『精神病理学総論』への考察を通じ、精神医学が常に人間全体を問題にする実践であることを確認し、『DSM 精神疾患の診断・統計マニュアル』至上主義が進みつつあるように見える現代精神医学の在り方に一石を投じる!
目次
序論
第1章 『精神病理学総論』における“心”の概念
第2章 『精神病理学総論』における“了解”の概念
第3章 精神分析に対する批判
第4章 危機的状況のもつ実存的意義
第5章 “不安”と「不安症」
第6章 『精神病理学総論』と現代精神医学
結論
著者等紹介
松丸啓子[マツマルケイコ]
東北大学大学院文学研究科博士課程後期三年の課程修了。博士(文学)。現在、高千穂大学人間科学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いとう・しんご singoito2
9
日本ヤスパース協会きっかけ。精神科医時代のヤスパースについては「哲学的自伝」で断片的に知っているだけなので、本書はその空白を埋める意味では勉強になりました。ただ、DSMを6頁にもわたって延々と引用しているのは閉口しました。また、ヤスパースのフロイト評価を述べるのに、概説書を梗概してポパーやハーバーマス、リクールの所見を述べる必然性も良く分からず、しかも概説書の妥当性を原典に当たって検証していない様子なのも気になりました。正直、冗漫でイマイチでした。2025/01/28