内容説明
森のそばの農場で、祖母と暮らす少女シルヴィア。自然を愛するシルヴィアの前に、ある日、ひとりの男があらわれ、白さぎの巣のありかをたずねる…。自然の圧倒的な力を描いたジュエットの小編を、バーバラ・クーニーの美しい絵と石井桃子の名訳で味わう1冊。
著者等紹介
ジュエット,セアラ・オーン[ジュエット,セアラオーン] [Jewett,Sarah Orne]
1849年、アメリカのメイン州サウスバーウィックに生まれる。ニューイングランドに住む人々の生活を描いた地域主義文学の作家として知られる
クーニー,バーバラ[クーニー,バーバラ] [Cooney,Barbara]
1917年、ニューヨーク州ブルックリンに生まれる。絵本作家、イラストレーターとして活躍
石井桃子[イシイモモコ]
1907年、埼玉県浦和に生まれる。『クマのプーさん』『たのしい川べ』『ちいさいおうち』(以上岩波書店)などの翻訳をはじめ、絵本、創作、評論と、子どもの本の世界で数多くのすぐれた仕事を続けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Cinejazz
19
アメリカ北東部ニュ-イングランド。 大自然に囲まれた森の傍の農場で、祖母と二人きりで暮らす少女シルヴィア。ある日のこと、自然を愛してやまぬシルヴィアの前に、鳥獣狩りのやさ男が現れて、森に棲む「白さぎ」 の巣の在りかを尋ねられる…。孤独な少女と若い男と交流、自然と命の存在の重さに葛藤するシルヴィアの下した決断とは…〟女流文学作家<セアラ・オーン・ジュリエット(1849-1909)>の短編小説を<バーバラ・クーニー(1917-2000)>の華麗な絵と<石井桃子(1907-2008)>翻訳による記念碑的名編。 2025/09/19
みさどん
15
文の表現がいかめしく、児童書としては、絵本としては、難しい。シルヴィアが、道に迷った若者に白サギの巣を教えるかどうか、深く悩む。そもそもこの若者が善か悪かぼんやりしている。バーバラクーニーさんの絵がまた観られるというのが良かった。人に迷惑をかけるでない森の鳥を採集することは私には悪でしかなかった。2025/09/05
たくさん
2
シルヴィアの利発そうな雰囲気。それでも家に帰ればどんくさいモノ扱い。客人がやってきてもとても素敵な人だけれども、鳥を殺して撃つということがとても自分の心に嫌悪感を引き付ける。そんな自分自身の正義感。誰かと反することを黙っていることに対する大きな気持ちの揺らぎ。そういうものを時代とともにせつなく感じた話でした。そしていかに男の人を信じることの決定権をどう使うかという女性の生き死にの決断の使いどきは今に通じるものがあり、大人向けの本とはいえ(?)子供にこそ持ってほしいと思うものですね。2025/09/07
kokotwin
2
大人向きの絵本かなぁ。高学年なら大丈夫かなぁ。シルヴィアは祖母との二人暮らし。自然のあれる場所で暮らしている。ある日、牛を連れて家に戻る途中。鳥を集めている若者と出会う。白さぎを探しているうちに迷子のなってしまったと。シルヴィアの家で泊まるが、シルヴィアが鳥や小動物のことを知ってると祖母から聞き白さぎの居場所を教えて欲しいと頼むが。自然を守るのかそれとも教えるのか。2025/08/26
たこい☆きよし
1
体裁は絵本だが、都会の学校ではいじめなどで適応できていなかった女の子を祖母が(結果的に)保護してくれて、自然の中での生活に居場所を見出しているところに、趣味の猟のために森を訪れた青年との交流から、女の子は「ある行動」を自分から選択する。石井桃子がとある全集に訳していた訳文を採用。いかにも古風な翻訳のため読者を選ぶ本になっている。とはいえ同じように全集ものの中に埋もれていた岸田衿子訳『赤毛のアン』のように、いろいろな翻訳があちこちにまだまだ埋もれているのかもしれない。2025/09/24