内容説明
自閉症の青年と過ごしたある夏の日。言葉を超えた彼との交流と断絶、その先に見えてきた世界とは。韓国語でもよめる。
著者等紹介
チョンヨンジュン［チョンヨンジュン］
鄭容俊。１９８１年光州生まれ。朝鮮大学校ロシア語学科卒業後、同大学大学院文芸創作学科修了。２００９年に短編「グッドナイト、オブロー」が雑誌『現代文学』に掲載され文壇デビュー。２０１１年に短編「トトト、ト」で第２回若い作家賞を、２０１６年に「宣陵散策」で第１６回黄順元文学賞を受賞した。現在はソウル芸術大学文芸創作科で教鞭を取っている
藤田麗子［フジタレイコ］
福岡県福岡市生まれ。中央大学文学部社会学科卒業後、実用書、雑誌、医学書などの編集部を経て、２００９年よりフリーライターに。韓国文学翻訳院翻訳アカデミー特別課程第１０期修了。第２回「日本語で読みたい韓国の本翻訳コンクール」にて「宣陵散策」で最優秀賞受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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かもめ通信
17
なにがどうとうまく言い表せないのがもどかしいし、知ったところでどうすることもできないあれこれもまたもどかしいが、それでもこの作品、そういうもどかしさや、きれいごとで終わらせないことをも含めてとても良かった。2022/08/31
Nishiumi
14
ひょんなきっかけで自閉症の青年と一日を過ごすことになった主人公。青年は意味もなく唾を吐き、食べ物に異常な執着を見せては大声で喚く。一方で人前に出ると緊張したり、木の名前を呟いたりと内向的な側面を見せる。主人公、そして私たちが青年の心うちを理解することは最後までできない。ただ、彼が不良に囲まれて脅され罵られた後、自分の顔を何回も自分の拳で叩いたことを思うと、胸がきゅーっと締め付けられる。彼には彼の心、生きづらさが確かに存在するのだと。2025/01/29
林克也
5
自閉症の若者と融通の利かない者。この設定は、この話の特別なものではなく、当事者及びその周りの人々が意識しているいないに関わらず、ごく普通にある世界だと思う。で、融通が利かない“僕”は、とても生きづらいです。でも、生きづらいのは僕だけじゃないんだよね。世の中、融通が利く者がよりよく生られるかといえば、それも違うよ。わかり得ない者同士がわかり合うためには何が必要なのか、この話を読んだ皆さん、考えてみましょうね、と言っているのだろう。 皆が他人を慮る力を持つこと、今、世界は切実にこのことを必要としている。 2019/12/09
みろみ
2
図書館本。翻訳コンクールの作品。私も一昨年何日もかかって訳したのですが、日本語で読むと数十分で読み終わってしまうのだなぁ。2020/05/01
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1
作品に関しては特になにも感じなかったけど、訳者解説で書かれていることに興味を持った。現時点では読むことができなさそうな『グッドナイト、オブロー』『ガーナ』『トトト、ト』『私たちは家族じゃないか』『壁』『消えるものたち』を読んでみたい。2023/04/04
