内容説明
誕生日をきっかけにダイエットをはじめた「僕」のもとへ、生き別れた父の入院の知らせが届く。「僕」は肥満児だった幼少期の自分と父との記憶をたどる。―「美しさが僕をさげすむ」。日々の暮らしに内包される悩み、悲しみをアイロニーとユーモアで彩り、人生を見据える6編。
著者等紹介
ウンヒギョン[ウンヒギョン]
殷煕耕。1959年、全羅北道生まれ。淑明女子大学国文科、延世大学大学院国文科卒。出版社勤務を経て、1995年、東亜日報新春文芸に中編「二重奏」が入選、文壇にデビュー。同年、初めての長編小説『鳥の贈り物』で第一回文学トンネ小説賞受賞
呉永雅[オヨンア]
1973年、静岡県生まれ。慶応義塾大学商学部卒。2003年に渡韓。延世大学国際大学院国際関係学科、梨花女子大通訳翻訳大学院卒、同大学院博士課程修了。2007年、「隙間」(イ・ヘギョン著)で韓国文学翻訳院主催・韓国文学翻訳新人賞受賞。梨花女子大通訳翻訳大学院講師、韓国文学翻訳院翻訳アトリエ教授。そのほか文学関連のフォーラムなどで通訳を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
星落秋風五丈原
23
殆ど名前が出てこずMとかSとかいう呼び名ばかり。「美しさが僕をさげすむ」ダイエットを始めた理由を誰にも言わなかった主人公。でも本当は父に見せたかったから。その事を主人公は母親にも言えないため、彼の気持ちは誰にも理解されない。恨だの情だのあれほど濃かったはずの韓国の家族間のコミュニケーションがなくなっている。2017/12/25
ハッカ飴
5
とても読みやすいです。「現代を生きている」という感覚にすごく共感できるところが多かったです。また、「若さ」に対する感覚、人生をそれなりの時間生きてきて、「積み上げたものがある」感覚が身体に沁みてきました。ただ、自分の感覚に容易に重ねられる分、うならせられるような深み、重みに少し欠けているようにも思われました。2014/03/21
right27
3
あまりうまく消化できずにいる。感想が浮かばない。いちばん最後の作品が好きだった。ような気がする。2018/06/09
S
2
美しさもそうだけれど、誰かを讃えるためのなにかは同時に誰かをさげすんでるよな、と思う。表題作がいちばん好きだった。2021/03/07
渡邊利道
2
冷たくねじくれたユーモアで、ちょっとわかりにくい韓国の「現在」を描いたという感じの短編集。気持ちの通じ合わなさや、偶然の「意味」など、けっこう重い主題を、軽い物語に巧く落とし込んでいる。もうちょっといろいろ読まないとこれだけでは何ともいえない気がするが、まったくつまらないというわけではなかった。2016/09/06