内容説明
好きな人のことを褒めることで生涯を送りたい。「君のよさは、ながくともに暮しているうちに、いつか自然にこちらの心に映ってくるような性質のものです」清純な作家が残した、つつましやかな11編の随筆。
目次
夕張の友に
春
矢車の花
動物園にて
私について
浅草
能率係
その頃のこと
風の便り
美穂によせて
再び美穂によせて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きなこ
35
太宰治に師事した寡作な作家の随筆集。「君が所帯を持ったことも、子供が生れたことも、風の便りに聞きました。」冒頭の一文から惹かれました。ただ優しい風が吹いているような、作家の純粋さを思わせる作品。生まれたばかりの娘に向ける初々しい視線、太宰への思いや服役の過去についても気負う事なくさらりと語られていて。決して順風な人生を送った人ではない事を知りましたが、文章に滲み出る優しさは作家の本質なのだろうと思いました。そして夏葉社さんの手による美しい装丁。これだから紙の本はやめられない。2022/04/10
kochi
14
知る人ぞ知る作家、小山清の随筆集。ゆったりとしたペースで、心の動きを説明したような文章の流れ。サクサクと読み進めて、しかし、再再読した時には罠にはまるような感覚。かつて暮らした夕張の知人に関する風の便りから発想し、薄いながらもじつは繋がっていたかもしれない交流を記し、最近世帯を持った自身が帰宅した時の家の灯火に言及したラストまでの流れは、3回読むとしみじみとします。高橋和枝さんの絵が、いくつかのページに貼り付けられていて、すごく手の込んだ贅沢な仕上がり。これ、本によって、絵が違うとかするのでしょうか?2021/05/01
だいふく
7
小山清さんの随筆集。 届いた本を手にした時に、なぜか愛おしさを感じて表紙をなでてしまった。本文中の絵は全て手で貼られていて、この本を作った人の本への愛情が溢れていたからかもしれない。 読み始めてすぐに、この本は大事に声に出して読んでみたいと思った。不思議なことに、声に出していると自分の声が温かく感じられた。 「好きな人のことを褒めることで生涯を送りたい。」という著者。そんな風に日々を送れたらいいのにな。2021/04/07
しょうご
4
娘さんの誕生エピソードがとても素敵なお話でした。2024/07/29
寝子
1
装丁がとてもきれいな本でした。素朴な文章も好きです。2022/08/29
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