内容説明
日々の暮らし。父との死別。流産。ふたたびの妊娠。さまざまな出来事をとおして、浮かび上がってくる、あたらしい結婚の形。変化していく、作家のこころ。毎日、少しずつ読みたくなる、結婚エッセイ集。
目次
1(かわいい夫;夫の良さが減る;勝ち負け;まあ、あきらめるか;ファン ほか)
2(納骨;スイカ;ミニトマト;穴は永遠に空いたまま;愛夫家 ほか)
著者等紹介
山崎ナオコーラ[ヤマザキナオコーラ]
1978年、福岡県生まれ。埼玉県育ち。2004年、会社員をしながら書いた『人のセックスを笑うな』が第四十一回文藝賞を受賞し、作家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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じいじ
91
書き出しの三行で、俄然読む意欲が…。「私の夫はかわいい。顔がかわいいのではなく、存在がかわいい。…それで、このエッセイを書くことにした」。心から夫を愛し、尊敬し、適度に尻に敷き、夫婦円満(はたからは「可哀想な夫婦」と見られがち、だそうです)を絵に描いたようなお話。オノロケ話かと思いきや、彼女の人柄、作家としての筆力で読ませます。少々自虐的なトコロが却って面白い。「夫」を中心に据えて、日常を丹念に綴ったエッセイ。細かい観察眼に恐れ入るが、これも夫をこよなく愛している証左なのだろう。ナオコーラさん素敵です。2016/04/27
nyaoko
86
「母ではなくて親になる」のエッセイがとても良かったので、こちらもリクエストしてみたら、なんと半年待ちの人気でした。他の作品もリクエスト多数かかってました。「ぶす」についてはとても共感。女芸人さんが「ぶす」でイジられてるの私も嫌いです。「流産」の出来事に対しての考え方や意識も同じく。そして、平和な時代で良かったなぁとしみじみ思う部分も。(私の場合、草食男子の息子達のことを思ってたしまったけどね)とても繊細で、優しくて、好きな仕事をしてる「夫」さん、ホントにかわいいです。2018/03/04
ぶんこ
83
実はお名前から軽い本を書かれる方と思い込んでいて、初めて作品を読んだ時に感動し、嬉しい誤算を経験しています。筆名といい、デビュー作の題名にはいささか疑問が湧くというか、世間一般の一人である私から見ると、かなり誤解を与えかねなくて損をしているのでは?純文学の作家と書かれていて、そうだったのか!私の思い込みは相当だなと反省。著者の本のファンでもあったのですが、このエッセイを読んで、よりファンになりました。確かに「かわいい夫」ですね。それと同時に「かわいい夫」にしてるのは著者の愛だなぁ。素敵な妻です。2016/06/07
itoko♪
71
世間一般の『夫婦像』に囚われたくない、という著者の思いが伝わってくる。そして、のろけじゃないと言いながらも、夫への愛に溢れている、そんなエッセイです。うんうん、人それぞれ考え方が違うのと同じで、色んな夫婦の形があってもいいと思う。でも、自分が親の立場に立ったら、なかなかそうも言えず、世間一般の常識を押し付けてしまうものなんですよね。旦那さんと出会うキッカケになったという著書、読みたい本に入れっぱなしなので、これを機に読もうと思いました。新聞連載時の挿し絵が入っていなくて残念でした。2016/04/20
あじ
68
足りない部分を補いあって、互いの人格を第一に尊重し合える夫婦って素敵です。今日という日の彼の笑顔、仕草、言葉を焼き付けておこう、覚えておこう…。ナオコーラさんはそれを”幸せ“と呼んでいい事を知らない。誰にも遠慮しなくていいはず、幸せはお裾分けするものなのだから。夫婦仲も家族仲も夫が潤滑油となり回っている。そして素顔のナオさんのままでいられる巣を、せっせと編んでくれている。夫あってこそ妻あってこそ、二人三脚で胸張って声高に叫んで欲しい。幸せなのだと。2016/02/24