感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
136
いやあ、面白かった!面白さだけでいったら、今年読んだ本の中でこの本が1位。昭和に作られたやや風変わりなレコードを紹介していく本。鹿児島の池田湖のイッシーを曲にしたイッシー音頭、王貞治の歌唱レコード白いボール、全国の大企業の社長さんたちが録音した貴様と俺など、なんだそれは!と思わず言いたくなるレコードが多い。そういったレコードを田口さんは、尊敬と哀惜の念と、ユーモアを持って紹介していく。田口さんの紹介の仕方が素晴らしいのは、レコードが作られた背景まで思いをめぐらしている点だ。夏葉社らしい秀作。2015/11/21
ばう
50
★★★★主にいわゆるソノシートとかフォノカードと言われるレコードの紹介本。と書くと大したこと無い感じになってしまいますがこれは凄い。昭和に作られた企業の宣伝用、学校の行事の記録、歌、お話、動物の鳴き声や事件の記録などバラエティー豊かなレコードがいっぱいで、そこから昭和という時代の息づかいが聴こえてくるようです。これらのレコードを集め、そしてこの本を作った著者に脱帽。そしてこの本を出版してくれた夏葉社さん、本当にありがとう。こういう本を出版してくれるのはやはり夏葉社さんくらいなのでしょうか?2015/12/31
へくとぱすかる
39
メジャーな音楽だけではない。数知れず制作された、自主制作・キャンペーン用・記念レコード・校歌盤等々。日本のレコード文化の奥底をのぞきこむような、深い文化論となっている。「物」としての愛着がなければ、おそらくこんなに作られなかっただろう。確かにシングル盤のあの大きさは、CDなどより、ずっとコレクター心理をくすぐるものがあると思う。2016/05/08
ばんだねいっぺい
37
最後のあとがきがジーンと響いた。百聞は一見に如かずを大事にしたい。瀬戸内海の直島には、素晴らしい先達、佐義達雄さんがいらっしゃることを知った。ニューおやじの海、湘南台小学校の校歌、スズキヘキの歌。聞きたいものが多すぎる。2017/09/21
kawa
30
レコ-ド、ソノシ-ト、フォノカ-ド(知らなかった)、ラッカー盤、しかも音楽を売るために作られたのではないレコードへの愛着を綴る。具体的には宣伝用、卒業記念、教育用、政治・宗教のプロバガンダ用に作られた盤を対象に、制作意図や出来栄えなどの語り昭和の人々の気持ちと暮らしを描く。「自主制作盤?興味ないな」と思いながらページを進めると、いつの間にか引き込まれる優れ本。デジタルの時代に、入手経路や方法も含めてアナグロにこだわる著者の豊かさが貴重だと思うし、見習いたい姿勢だ。(ひとり出版社の夏葉社から)2020/12/17