出版社内容情報
山本浩二[ヤマモト コウジ]
著・文・その他
内容説明
二千年の時が流れるミラノの街に、三十年暮らしてきた画家のエッセイ集。芸術の深淵と、多くの人々との出会いを、澄明な筆致で綴る。ミラノの扉の奥には、深い森がある。
目次
サンタ・マリア・フルコリーナ通り
チョヴァッソ通り
ヴェネツィア門
マンゾーニ通り
ガレリア・ヴィットリオ・エマヌエーレ2世
ピアーヴェ通り
ラッザーロ・パラッツィ通り
ヴィスコンティ・ディ・モドローネ通り
ブエノス・アイレス大通り2番地
ガリバルディ通り
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
泉を乱す
9
ミラノの家探しも終わり、住む場所=居場所がかの地に出来てから読むミラノ関連エッセイは本当に自分ごと。大御所の画伯と私の住む世界は違うだろうけど、それでもエッセイが重みをもって迫ってくる。わくわくです。2023/04/17
qoop
6
ミラノ在住の画家が、同地で作品を認められ、受け入れられていく過程を綴ったエッセイ。ミラノに何度足を運んでいても触れることのない世界、同じ通りを歩いても覗けない世界。そうではあってもうっすら伝わるものもある。芸術に携わる業界の空気や業界人の気質などを伝える文章からは、例えば北イタリアで、強い日差しから逃れて入った石造建築の中、火照りが収まり感じる仄かな冷気を連想した。2022/10/12
ねこ
0
描写が細やかなのでプロの画家の思考過程を同時進行で追っている感じがしてなかなかに興味深かった。 分野は違うけど、読んでいて斉須政雄さんの十皿の料理を思い出した。 あと、写真がいい。もっと欲しかったくらい。装丁もとても好み。イタリアに行きたくなった2022/12/20
Mariko
0
著者・山本浩二画伯が、30年に渡って活動拠点としているミラノでの、珠玉の出会いを綴ったエッセイ集。 この本の神髄は、エピソードの端々に現れる、画家独自の目線から紡ぎ出されるフレーズだと思う。 「すべての芸術はそれを鑑賞する人間の認識の中にしか存在しない」「遠い記憶が蘇るような仕方で、私たちは自分の必然を知る」 これらの言葉には多層的な意味が内包されていて、一読では理解できない。気がつけば筆者の言葉を反芻して自らに問いかける。絵画とは、芸術とは、人生とは・・・ これからも、何度もこの本を訪れることだろう。 2022/11/13