内容説明
二〇〇八年六月八日、東京・秋葉原の路上で、二十五歳の男が通行人や駆けつけた警察官ら十七人を次々に殺傷した。いま、日本社会が抱える「関係性の危機」という問題が、さまざまな形で露出している。教育学は、このような状況にいかに対峙すべきか。本書は、井上達夫、ジルーら内外の教育学の議論を批判的に検証し、花崎皋平、岡真理らの思想を援用しつつ、豊かな「関係性社会」を切り拓く真の共生教育の構築をめざしている。個人のエンパワーメントを目的とした「被害者教育」から、自らの加害性を自覚し、他者を植民地化する暴力を抑制する「加害者教育」へ。秋葉原事件の当日に第一子を出産した、気鋭の教育学者が挑むポストコロニアル教育論。
目次
第1部 「被害者教育」の観点から「加害者教育」の観点へ(「共生」教育はなぜ近代教育観を乗り越えなければならないか;共生教育の課題)
第2部 共生教育理論(「差異」概念の見直し;共生教育理論)
第3部 共生教育の教育学的位置づけ(人間成長を阻害しないことに焦点化する教育学―根幹としての共生教育)
著者等紹介
高橋舞[タカハシマイ]
1974年生まれ。立教大学大学院文学研究科教育学専攻博士課程後期課程修了。博士(教育学)。2007‐2008年、立教大学文学部教育学科助手。現在、立教大学大学院研究生。目下育児に奮闘中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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