内容説明
治療の鍵は、乳幼児期の記憶。乳幼児期の記憶は、人間の一生に深い影響を与える。本書は、児童精神科医として稀代の存在である小倉と、発達障碍の臨床実践・臨床研究において第一人者である小林による論文・対談を収録した1冊である。「乳幼児期のことを思い出して、ああだったこうだったと言って興奮したり涙を流したりすること自体が治療だと思う」とする小倉と、臨床実践や調査・研究から母子の関係性と病理を解明してきた小林による治療論。子どもから成人まで多くの事例をもとに、こころが形作られる原点をめぐる治癒を探る。
目次
1 乳幼児期の母子関係からみたこころの病の成り立ち(関係に着目するようになったのはなぜか;母子関係の観察をどのように行なったか ほか)
2 患者の面接で語られる乳幼児体験(大学も教科書も、まるで面白くない;犯罪者の幼少期体験 ほか)
3 対談 乳幼児体験とこころの臨床(赤ちゃんの時の写真を見る;幼い頃の記憶が蘇る ほか)
4 患者の面接で語られる乳幼児体験(思春期症例の臨床;思春期の特徴とその家族との関係性 ほか)
5 罪を犯した人との面接でみられる「甘え」のアンビヴァレンス(詐欺事件を起こした人との面接を通して感じたこと;犯罪者の生育史からうかがわれる幼少期体験 ほか)
著者等紹介
小倉清[オグラキヨシ]
1932年和歌山県新宮市生まれ。児童精神科医、クリニックおぐら(院長)、元日本精神分析協会会長。1958年慶應義塾大学医学部卒業。1959年~1967年、米国留学。メニンガークリニックなどで主に児童精神医学を専攻。1967年関東中央病院精神科勤務。1996年クリニックおぐら開設、2014年クリニック移転に伴い、初めての試みとなる、親と赤ちゃんのデイケア「れんと」を開始
小林隆児[コバヤシリュウジ]
1949年鳥取県米子市生まれ。児童精神科医、医学博士、日本乳幼児医学・心理学会理事長。1975年九州大学医学部卒業。福岡大学医学部精神医学教室入局後、福岡大学講師、大分大学助教授、東海大学教授、大正大学教授などを経て、2012年より西南学院大学人間科学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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