感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
美登利
56
東田さんの本としては三冊め。読めば読むほど深い。心では勝手に動き始める自分が嫌で仕方無いのに、コントロールが出来ない。幼い頃は自分の手足がついている感覚もあまり無かったと言っています。奇声を発したりじっとしていられないことで周りに迷惑を掛けていることを辛く思うし、時々は手伝って貰うことが申し訳なささの中にも何だか嫌だと思う心もある。それは障害があっても健常者でも同じなんだなぁ。御家族の直樹さんへの愛情が、彼に充分に伝わっていて特にお母様の姿勢が素晴らしい。ありのままを受け入れる。私に出来るのだろうか。2014/11/28
ヒラP@ehon.gohon
26
ここに描かれているのは東田直樹さん個人の世界であって、自閉症の世界ではありません。自閉症という特性をもって、一見独特の行動や、コミュニケーションを持たない人たちが、実は心豊かに健常の世界を見ているのだと感じる本です。 発達障害を持った子は、どうしてもその行動や、発語によって理解してしまおうとしがちですが、障害ゆえに本当の世界を勘違いしてしまいがちになる、そんなこともあるのかと感じました。 本当の意味で、会話し合える関係を目指したいと改めて思いました。2023/10/30
けんちゃん
16
東田さんの著書2冊目。彼の目に写る風景は彼にしか見えない、という言葉にハッとします。他者が見ている風景をも自分の目で判断しようとしている日常を突きつけられたようでした。ちょうど東田さんの講演をうかがう機会があり、その内容とあわせて、いろいろな課題を与えられる作品でした。2016/06/22
ヤマセミ
16
脳の働きと心の動きが別だということがよくわかる自閉症の内情が具体的に書かれていた。奇声をあげたり勝手に動いたりする自閉症の人独特の行動の裏に、あんな思いがあったとは意外だった。普通の人とは大きく違うのに、その中から掴んできた彼の言葉は、普遍的な人生の真理、生きることの叡智、愛の賛歌だった。宮本亜門さんとの対談が異才の者同士で興味深かった。東田さんの思考感情とは関係なく勝手に入ってくる言葉を、宮本さんは「頭をマッサージされてるみたい」で解放されると言って、楽しんでいた。2016/01/28
LongRide Taka
14
作者の感性の豊かさと表現力に驚かされた。村上春樹も真っ青かも。悲しみの中にいても、そこで僕はいつも泣いているとは限りません---弱いけど強く生きる彼の姿を上手く表現していて、他の文章と相まって泣ける。自閉症とか障がいを持つ人への理解の一歩になるし感動も一杯詰まっている。いい本だと思う。この人は自閉症を持つ凄く立派な作家さんです。2019/09/05