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出版社内容情報
精神科医・中井久夫と患者の共同作業
まったく新しい統合失調症の手引書
「どんな統合失調症患者も百パーセント統合失調症的ではない」
中井久夫は、日本を代表する統合失調症研究者であり、常に患者と向き合い「希望を処方」してきた。「統合失調症は治りにくい病気ではなく回復を妨害する要因が多い病気である。本人と家族と医療陣の三者の呼吸が合わなければ、この病気の治療は第一歩からつまずく」と中井はいう。
本シリーズは、患者、家族、支援者が統合失調症を理解し、ともに回復を目指すものであり、中井の膨大な著作から言葉を厳選して、患者の側から読み解き、中井自身が新たな解説を加える。
目次
第1章 統合失調症治療への手引き/中井久夫
第2章 統合失調症の経験/考える患者
第3章 統合失調症の経過をたどる/中井久夫・考える患者
著者等紹介
中井久夫[ナカイヒサオ]
1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医。2013年文化功労者に選ばれた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
eirianda
12
数人の患者が振り返る統合失調症の諸段階と、中井久夫氏の病状に対するテキストが、呼応するように挟みこまれ、とても分かりやすかった。急性期に「ついに実在に触れた」という神々しい感覚とともに、筆舌しがたい恐怖を感じるとは、なんと大変な体験なのだろう。傍目には幻聴幻覚の奇異さが目を引くが、これらは対象がある分、恐怖感覚は少ないらしい。人間誰しも現状より超越したいと思うもの。若いと尚更。ただ、思うだけで努力は程々の人が多いのだろう。一生懸命の努力は美徳だが、針が振り切れると大変なのだな…。この先生は本当に凄い。2016/02/10
きくらげ
8
中井久夫の著書を患者と医療者がともに読み、双方の視点から統合失調症を語り直す試み。シリーズの第一作である本書では統合失調症の経過をたどり、実際に病気になったときどうなるのかを中井の区分に従って丁寧に追ってゆく。患者の体験談と引き合わせることで、想像の及びがたい経験の手触りが言語化されているのが分かるだろう。2019/01/25
きゅー
6
タイトルは「中井久夫と、考える患者」であることが強調される。いまで言えば当事者研究ということだろう。統合失調症の発生前から寛解までのそれぞれのステージを中井久夫と当事者が考える。それにつけても統合失調症とは関係の病であることに思い至る。特に人間関係に悩み傷ついた人間が、それを理解しようともがくうちに外界のあらゆる徴に意味を読み取ろうとする。すべての事象が意味を持ち、それを解釈しようとするため処理がオーバーフローする。自身の内と外が逆転する恐怖は、救いなく世界の底の底の底に落ちるものとして体験される。2025/04/17
サミー
3
私には難しかったけど読みました。統合失調症当事者です。嵐のように過ぎ去っていった発症から回復までを、こんなに細かく分類するんだと思うほど研究がなされていました。発症以前/前兆期/急性期/回復期前期/回復期後期の5段階です。一年前に4週間入院し、今月頭に再発しかけた身としては、発症の手前でできることと、この先体験するであろう寛解についての部分が興味深く読めました。治療目標の設定「あなたが(中略)何かになってもよいがならなくてもよいだけのゆとりのあるところまでお互いに努力をする…」という部分に勇気をもらえた。2022/07/17
恋
2
統合失調症という疾患について深く考えることの出来る本。 中井先生はこんなにも難しく統合失調症治療に向かっているのかと考えてもしまいそうだが、むしろ感想は逆。統合失調症を難しくさせてしまう様々な障害を、適切な眼を持って取り払われているのだ。 「統合失調症は本来治りやすい病気だが、それを妨げる要因の多い病」という意味を知ると、やはりこの病は元来素直な人に備わると思い至る。 人間性を超越したかのような統合失調症の体験も生々しく分析され、妄想幻覚も問題を対象化する肯定的な意味があるなど、興味深い内容でした。2020/02/20
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