内容説明
逃げるように全寮制の女学院へと転校してきた主人公、星野刻子(ほしのときこ)。刻子はそこで、不器用にしか生きられない少女たちと出逢う。歪な関係で成り立つお茶会に隠された、墜落、という秘密。果たしてそれは、事故か、自殺か、殺人か。それとも他の何かなのか。胸の痛みが暴かれるとき、彼女たちの蜜月も終わりを迎える―
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふじさん
4
「東方Project」二次創作小説で知られた著者による、商業デビュー作。同人活動については全く関知していなかったが、この手の出自から成る作品には珍しく当たりと評せる傑作だった。何より鬱屈した青春小説として心理描写が非常に繊細。キャラ小説的に誇張されてはいるものの、一つ一つの場面で十代特有の空気感の演出が巧みだった。屋上という「開放的な密室」も、ガジェットとして至極象徴的。謎解き要素を添物と捉える評には概ね同意するが、「転落死講義」とでも言うべき、場合分けによって導出される解法には充分満足感があった。2014/09/12
kikuzone
3
pixivに告知SSという名の愉快な後日譚があった、いいのかそれ告知SSにして…/たとえば比企谷八幡や由比ヶ浜結衣のように現実と折り合いをつけながらそれでも自分の望む関係性を模索するのが現代の作風かもしれないけれども僕の脳内では戯言遣いのいーちゃんの亡霊が人間は致命傷を負ったら死ぬしか無いんだよとかなんとかずっと囁いてくる。なお舞台は女子高です。最高。2015/11/08
読人
2
女子校を舞台とした命題:飛び降り自殺の百合ミステリー。鬱屈とした自己形成小説として体の比重が強く、それぞれがそれぞれの形で他人との距離感に思い悩む年相応に狂った女達の狂奏劇は自分好みだった。人間の心理をくどくどくどくどと語り騙る作品なので、劇的な事件が起こるにしても分からん人には一生分からんタイプの痛々しいモラトリアムによる思春期のミスファイア。屋上を解放的な密室と定義するセンスが気に入った。(コメントに続く)2021/03/27
翔菜
1
青春モノ。青春モノではあるけど単純に聞いて連想するそれではなく多分誰しもが多感な時期に大なり小なり抱くであろう後ろ向きな部分を抽出して徹底的に濃縮して描写したような。これが面白かったから困る。落ちる話で堕ちる話な割にちょっと綺麗に着地させてしまった感はある。今現在抱く後ろ向き思考が青春面ではなく労働に対するものである社畜で助かったね!!(助からない2014/08/07
社長パラディナイト
1
様々な理由でコミュニケーション不全な女の子達が隔離されているサークル「お茶会」。他者を傷つけてしまう方法でしか触れ合えない彼女たちの未来は…。2014/07/22