内容説明
芸術、情報、思想、そして日々の生活に潜勢する、ざわめきの数々。記憶と夢想と想念から立ちのぼり、人々の集合体に市民社会というかたちをとらせようと/とらせまいとして胎動するものの現場に、人文諸科学の視点から鋭く迫る。ノイズからダイアローグへ、ダイアローグから共同体への、迷路のごとき道のり。
目次
ノイズという“現場”―ジャコメッティ「模写についてのノート」から
第1部 芸術と市民社会(「市民社会」の中の絵画―一九世紀英国のナラティヴ・ペインティング;「叫び」から「微笑み」へ―フランシス・ベイコンの描いた身体を市民社会が抱擁するということ ほか)
第2部 市民社会とインターネット(情報社会の中の「天譴」論―日本的「非合理主義」とメディア観・社会観・プライヴァシー観の関連について;市民エンパワーメントとメディア利用 ほか)
第3部 歴史の中のマイノリティ(歴史の中のイスラームとスペイン市民社会―グラナダ奪取祭の変容;市民社会におけるヒターノ―自立、選択、そして市民社会参加 ほか)
第4部 一八世紀ドイツの市民的公共性と社交性(クニッゲと啓蒙の社交性―カントとシュライアーマッハーとの連関の中で;一八世紀ドイツの文芸的公共性の一特徴―J・G・ヘルダーにおける作家と読者の位置づけの問題を中心に ほか)
第5部 “啓蒙”の可能性と市民社会の夢(孤独な散歩者は市民社会の夢を見るか?―“啓蒙”と「自己への配慮」;フーコーによるネオリベラリズム―『生政治の誕生』をめぐって ほか)
著者等紹介
川那部保明[カワナベヤスアキ]
1949年生まれ。現在、筑波大学大学院人文社会科学研究科現代文化・公共政策専攻教授(2008年4月1日より筑波大学大学院人文社会科学研究科現代語・現代文化専攻教授)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 和書
- 残像に口紅を 中公文庫