内容説明
一夫多妻制の問題、人間の性と好奇心、結婚制度と社会組織―源氏物語や和泉式部日記、男性たちの日常生活を記述した漢文日記などを資料としながら、できるだけ具体的に述べてみたい。人間の未来を探るこころみ。
目次
序章 平安貴族の男女の関係
第1章 一夫多妻制の社会
第2章 結婚と離婚
第3章 「愛情」という男女のつながり
第4章 密通・不倫という男女関係
第5章 平安貴族たちの性愛
終わりに
著者等紹介
増田繁夫[マスダシゲオ]
1935年兵庫県小野市に生まれる。京都大学文学部国語学国文学専攻卒業。梅花女子大学、大阪市立大学、武庫川女子大学等に勤務。大阪市立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫暗
1
物語や日記文学の例を参考にしながら、わかりやすく当時の結婚観や恋愛観を解説してくれている一冊です。現代の常識では計り知れない当時の恋愛観について、いかに当時の常識が現代とは違うのかをかみ砕いて説明してくれています。この関係の資料としては専門的になりすぎず、非常にわかりやすい言葉で丁寧に説明されていると感じました。著者の個人的な価値観や意見が少し特殊かなと感じるところもありましたが、押し付ける感じではないので読みやすかったです。2013/10/29
Tokujing
1
かなり細かく平安貴族の結婚、夫婦倫理観などを解説。ついつい現代的感覚で平安時代の婚姻も見てしまいがちだが、実はまったく異なる原理で動いていることを再確認。家制度的な嫁入婚が、平安時代までは遡れないという点で、家制度が日本本来の制度でないことも改めて感じさせる。そして浮気をすること自体を倫理違反と考える現在の倫理観も自明のものではない。こういうもろもろの自明性を破壊するのにもってこいの一冊。2012/10/13
hrn
0
読みやすいし分かりやすい。現代文の訳がついているのはありがたい。元ネタの文献名もあるし、注もしっかり。結婚離婚はどのタイミングで社会的に認識されていたのとか、密通不倫は今と感覚が違うとかなど。男色の歴史についても言及あり。当子内親王、頼長、膝枕の位置付け、召人の立場、嫡妻とは?等、うっすら疑問に思っていた私に一つの見方を提示してくれた興味深い1冊。 2010/02/11