内容説明
「瀬名さん、準備はよろしいですか?」「最相さん、切符は手にしました」こうして始まった、1年半にわたる往復書簡。二人の「物語る力」が暗闇と希望をつないでいく。暗闇と希望をつなぐ往復書簡。
目次
1 2008年春 未来をめぐる旅
2 2008年夏 時間と空間を超える旅
3 2008年秋 生命の不思議をめぐる旅
4 2009年冬 子どもの未来をめぐる旅
5 2009年春 宇宙と伝統をめぐる旅
6 2009年夏 感覚をめぐる旅
7 2009年秋 いのちをめぐる旅
著者等紹介
最相葉月[サイショウハズキ]
1963年、東京都生まれ。関西学院大学法学部卒業。科学技術と人間の関係性、スポーツ、教育などをテーマに執筆。97年、『絶対音感』で小学館ノンフィクション大賞受賞。07年、『星新一 一〇〇一話をつくった人』で大佛次郎賞、講談社ノンフィクション賞、日本SF大賞、08年、同書で日本推理作家協会賞、星雲賞受賞
瀬名秀明[セナヒデアキ]
1968年、静岡県生まれ。東北大学大学院薬学研究科(博士課程)在学中の95年『パラサイト・イヴ』で日本ホラー小説大賞を受賞し、作家デビュー。小説の著作に、第19回日本SF大賞受賞作『BRAIN VALLEY』などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mayu
58
1万円選書。科学をテーマにした往復書簡。子供の頃、科学館の未来を予想した展示に目を丸くしたことを思い出す。でも、子供心に空飛ぶ車と同じくあり得ないと思った携帯電話はもう日常だ。工夫することは未来をつくること。ちょっとの疑問やあったらいいなを大事にすることが未来につながるのかも。変えられないことを受け入れる平静さ、変えることは変える勇気、その違いがわかる知恵を、というのが印象的。いつでもそんな自分でありたい。そして、不可能だと思われる物理原則をも超えられるのは物語だというのもまた夢があっていいなと思った。2020/08/29
ぐうぐう
11
永遠に続いてほしいと思えるほどに素敵な素敵な往復書簡。科学をテーマに綴る書簡なのだけれど、瀬名さんも最相さんも、そこに作家としての視点が入ることで、同時に物語についての書簡にもなっている点が読ませどころとなっている。相手の問いにすぐに直球で応えるのではなく、別の話題をワンクッション置いてさりげに応えるあたり、お二人の作家としてのセンスの良さに唸らされる。(つづく)2010/06/07
みゆき
9
ミシマ通信より。科学(生物学、天文学、工学など主に自然科学が主軸)をテーマとした往復書簡。「物語」のちからを感じる。同時に自然科学を語る際には社会科学・人文科学と切り離すことができないのだということに気づく。:瀬名さんのウイルス研究者の父と妊娠中の姉のやりとりが興味深かった。対談とは違った趣がある。2018/04/30
里馬
9
僕は筆不精です。メールを続かせた事がありません。メールを煩雑に思い電話で済ませる事も少なくありません。やりとりは大抵2.3行で済ませているし、長文メールを続けてもやがては途切れてしまいます。ですから、お2人が作家さんとはいえ、この様な往復書簡を1年半も続けている事羨望の限りにございます。話題はくるくるとアクロバティックに旋回し、僕の思考を飛立たせ、空想は膨らみ、同じく科学周遊出来た喜びを光栄に思います。対談集でもトークショーでもなく、往復書簡という僕にとって新たなかたち。ご馳走様でした。2010/06/03
うみ
3
こんな素敵なやりとりがあるなんて!! 終わるのが惜しいと素直に思う。でも、未来への切符は、みんなが持ってるんだ。自分も、きっと持っている。希望をなくすことなく。前を向く力がわいてくる1冊。2016/11/27