出版社内容情報
井辻朱美第六歌集
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rinakko
7
再読(本整理の寄り道)。〈円形の図書館の中に立ちながらわれはファウスト四方を呼ばう〉〈アルチンボルドの頬骨あるいは緑が丘 だまし絵ばかりの夏は来にけり〉〈かぼちゃ族の真摯な愛はうたがえぬ陽の色をしたどくろとなるまで〉〈フォーリナーとしてこの惑星を行く風はかつて散らした文明を見ている〉〈宇宙にはバオバブの根がみなぎって幾度も生まれてくるゆめの蝉〉〈ごまだれにそばを浸して茶屋にいる浪人の髭も光ったであろう〉〈鐘を撞こう とおいい空に 首里 新羅 シレジア すべて鞘走る子音〉2025/04/10
袖崎いたる
4
「いくたびか見てきた渚 万象はここに尽きると臓腑色の落暉」「やわらかなことばの内臓もぐように風が散らしておいた夕雲」「真っ白な五月の坂にひとつまみのしめりけをおくS字のとかげ」「青春と呼ぶ吐瀉物のようにしめやかな桜ふぶきをゆわく仮名文字」「いきなりに美しい頬を張る音が響いたような羽子板の市」「汚れながらふくらみやまぬ夏の雲 孵化しないことを永遠と呼ぶ」あたりが好き。あと、あとがきで詩の理不尽な結合力と飛躍力を讃えて、それこそが外部に出てゆくファンタジーの役割を担う力能を備えておると語ってて胸熱。2023/02/17
はち
3
井辻作品は初めて。思っていたよりはるかにファンタジー。たた、過度にファンタジックな作品よりも、現実に近い作品の方が好き。2015/06/24
赤坂パトリシア
0
透明な短歌の世界。美しい。2017/12/01
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