内容説明
ウクライナの地主屋敷で孤独に暮らす男の前に自分の“分身”が現れ、深夜の対話が始まった。亡霊が現れる話や若者を惑わす絶世の美女をめぐる自作の幻想小説を男が読み聞かせ、分身はそれを批評する。分身による人間の知能の分析、プーシキンが惚れこんだ怪しい老婆の物語や猿に育てられた人間の「実話」を組み込んだ神秘的世界が夜を重ねるたびに展開されていく。ホフマンに代表されるドイツ・ロマン派の世界をロシアに移植し、ロシア文学のもととなる新しい散文の世界を切りひらいた作家の代表作。
著者等紹介
ポゴレーリスキイ,アントーニイ[ポゴレーリスキイ,アントーニイ][Погорельский]
本名アレクセイ・アレクセーエヴィチ・ペローフスキイ。1787‐1836。伯爵の私生児として生まれモスクワ近郊の父の領地で育ち、モスクワ大学を出て官吏として勤めるがナポレオン軍のロシア侵攻を機に軍に志願、配属先のドイツでドイツ・ロマン派の文学にふれる。その後、ペテルブルグの文学サークルと関わり、30代後半から小説を書きはじめ40歳をすぎて最初の単行本『分身』を出す。作家としては寡作だが、プーシキン、ゴーゴリに先立つロシア文学形成の時代に新しい散文世界を切り拓いた作家のひとりで、同時代の作家・批評家のソモフも高く評価した
栗原成郎[クリハラシゲオ]
ロシア文学・民俗学。東京大学名誉教授。北海道大学、創価大学でも教授を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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