内容説明
長編『戦争と平和』で世界的大作家となったレフ・トルストイを父に持ち、美しいロシアの自然にいだかれて育ったイリヤ。教育熱心な父の教えを直接受け、偉大な作家の家庭人としての日々の姿を間近に見て育った息子が父の死後まもなくつづりはじめた思い出の日々。農奴解放、戦争、皇帝暗殺―時代が大きく揺れ動いていた19世紀のロシアで常に社会の注目を浴び続けた作家である父の思想や社会活動、同時代の大作家トゥルゲーネフとの不和などの人間関係、そして世間を騒がせた晩年の家出と死まで、さまざまなエピソードの真実の姿を家族のひとりとして静かにやさしさをこめて語る超一級の回想録。
目次
家族の言い伝え
物心ついた頃
幼年時代の印象
ヤースナヤ・ポリャーナの召使いたち
家のたたずまい
父の性格とわが家の宗教教育
勉強と遊び
ターニャ叔母さん
サマーラ旅行
父が教えた遊びと読書〔ほか〕
著者等紹介
トルストイ,イリヤ[トルストイ,イリヤ][Толстой,Илья]
1866年、作家レフ・トルストイの第三子として生まれる。1890年代から中篇小説や短篇小説を書き始め、父トルストイもその才能を認めていた。第一次世界大戦に従軍記者として参加し、戦場からのルポルタージュを新聞に発表。父の死後まもなく回想を雑誌に書きはじめ、1914年に『わたしの思い出』として発表。1917年のロシア革命を目にして米国に亡命。トルストイの文学や思想の普及に努力し、晩年に『わたしの思い出』の大幅な加筆、修正にとりかかったが、アメリカの生活にはなじめず、病気に苦しみながら1933年にコネチカット州の病院で亡くなった
青木明子[アオキアキコ]
大阪外国語大学ロシア語科卒業、早稲田大学大学院修士課程卒業。元都立高校教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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