内容説明
人びとが圧政に苦しみ、救い主が現われるのを待ち望んでいた時代。イエスの母となった貧しいマリアもまた苦難の人生を歩んでいた。救世主誕生の噂におそれをなして子殺しにはしる王の暴力を逃れ、夫となった大工ヨセフと共におさな子を守り通し、人びとに希望の光を与えたマリアの生涯を、ウクライナ民族の精神的支柱となった詩人シェフチェンコが描きあげる静かで力強い叙事詩(ウクライナ語原文付き)。
目次
叙事詩マリア
МАРIЯ(ウクライナ語原文)
著者等紹介
シェフチェンコ,タラス[シェフチェンコ,タラス][Шевченко,Тарас]
1814‐1861年。農奴の子として生まれながら若くして絵の才能を認められ、ペテルブルグの芸術家たちの尽力で農奴から解放されて美術アカデミーに入る。その後、ウクライナ独立の政治運動に加わり皇帝を批判したという理由で流刑になった。専制政治を批判しウクライナ民族の誇りを終生もちつづけ、晩年恩赦で釈放されてからもウクライナ民俗の心をウクライナ語で詩にし、絵も描き続けた。現在のウクライナでも民族精神のよりどころとしてあつい支持を受けている詩人
藤井悦子[フジイエツコ]
ウクライナ文学研究・翻訳者
たなか鮎子[タナカアユコ]
イラストレーター。2002年にボローニャ国際絵本原画展入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Marie
3
不思議な本です。優しい言葉で優しさが溢れる物語である一方、男性が書いた作品だろうかと訝しむほど、聖母の慈しみが体現されています。物語の風景と大自然に引き込む力があり、パレスチナの自然を感じながら、やはり次第にウクライナの自然と心の中に導かれていきます。そうです。今のウクライナと“マリア”は重なっています。泣きながらも従順に、でも毅然と歩む姿は、屈することの無いウクライナの人々の心そのものなのでしょう。2022/12/06
ロバーツ
3
ウクライナ文学。ウクライナ語の原詩も採録。2021/11/11
悸村成一
1
読了124冊め。図書館本。日本語初訳。ウクライナ語原文付き。2022/10/19
dexter4620
1
聖母マリアをまるで人間のように描いた作品。読めて良かった2018/05/19
宵子
1
聖書のマリアの話に基いて描かれた絵本。ウクライナ語の本文とシェフチェンコ自身が描いた?挿絵もついている。 しかし、聖書と異なる点がいくつかあり(マリアが元々はヨセフの家の下女だった、息子がイエス/ヨシュアではなくインマニュエル、ヨハネがウクライナ風に呼ばれているなど) 個人的に本文よりも絵の方が気に入った。2012/10/27