内容説明
どんな民族であれ、どれだけ異なる環境で暮らそうと、人間はある共通する一点で何も変わらない。それは、だれもがたった一度のかけがえのない一生を生きるということだ。やさしい光をはなつ星野道夫のエッセイを新構成でつむぐシリーズ第2弾。
目次
クジラの民
生まれもった川
白夜
ある家族の旅
ポトラッチ
ジムと息子たち
思い出の結婚式
約束の川
シシュマレフ村
著者等紹介
星野道夫[ホシノミチオ]
1952年千葉県市川市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。動物写真家田中光常氏の助手を経て、アラスカ大学野生動物管理学部に留学。以後、アラスカの自然と人びとの暮らしを見つめ、写真と文章で記録し続ける。86年アニマ賞、90年「Alaska風のような物語」(週刊朝日連載)で第15回木村伊兵衛写真賞受賞。96年8月、カムチャツカ半島での取材中、ヒグマの事故により急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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ひのきの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
87
ほんとうにアラスカが好きな人だったことを改めて知った。著者の本を読んでいるとアラスカの澄んでひんやりした空気感やそこに住む人びとの生活の匂いや木の実を踏みつける音、ヘラジカや他の動物たちの息づかいがどんどん伝わってくるのは私だけではないと思う。それと写真だ、撮るほうが好きなものは必ずその好きな気持が相手に伝わるという話を聞いたことがある。この本にもそんな写真がたくさん載っている。事故さえなかったらまだまだたくさんの話や写真に触れることが出来たとおもうと残念だ。図書館本2019/03/10
naoっぴ
79
学校の課題図書で娘の本棚にあったもの。先生いい本を選ぶなぁと思ったけど、娘は物語じゃないからと未読だそう。もったいない!というわけで久しぶりに読んだ星野さん本ですが、エッセイの間にたくさんの美しい写真が入り、ちょっとした写真集のようです。これまでのエッセイから9篇を選び編集したものですが、クジラ漁やカリブー猟、アラスカの人々との交流が網羅され、厳選し凝縮されたような内容。柔らかい語り口の中に自然への畏怖と感謝、容赦ない時の流れを感じて厳かな気持ちになりました。2017/06/05
yomineko@ヴィタリにゃん
67
アラスカを愛してやまない星野道夫さん。彼の事はほとんど知らなかった。かなり前に熊の事故で亡くなったとの事😢大自然に生きる民族、動物の素晴らしさ。自然に畏怖を感じ尊重する生き方は素晴らしい。他の本も読んでみたい。2023/04/21
キジネコ
48
狩る事は生きる事。都市に生きる私達は食べる為に狩る事をしない。処理加工された肉を旨いと言って味わい、Tvや映画が見せる殺されていく獣を可哀そうだと涙し、殺す者を残酷だと非難する。自分自身も含めて命は循環すると極北に生きる人は云う。そして感謝と祈りを忘れない。自給率40%の私達が「命」と対話することを止め、循環から離れ、日常に埋没するとき この星の何処かでクジラが跳躍し、狼が夜空の星に向かって咆哮し、地平線をムースの群れが横切っていく。時には私達の考えるべき事の優先順位を見直しても良いのではないだろうか。2017/02/22
reading
19
何年か前に写真展に行って以来、ファンになった。好奇心旺盛な青年がアラスカに飛び込み、非常に魅力的な人々と出会い、美しくも過酷な自然に触れることによって、類まれな素晴らしい作品を残してくれたことに感謝の気持ちでいっぱいになった。星野氏の人柄、撮影の技術、文章の秀逸さ、どれをとっても非常に素晴らしく頭が下がる思いがする。2018/06/01