内容説明
われわれは大震災以後、何を失い、何を得たのか。名編集者の震災後の「旅する一年」を柔和にして辛辣、正統にして新鮮な視点で説いた批評と記録。
目次
頑張るとは、どういうことなのか
今こそ思い出したいがむしゃらな元気
井上ひさしと東北の風土
芥川賞『きことわ』の評判
プロ野球開幕―一塁ベース上での対話
相撲の八百長問題と雑誌ジャーナリズム
戦友ともいうべき二人の編集者が亡くなった
料理は「完成」するものなのか
吉川英治賞を受賞した森村誠一さん
試合後の食事を食べ終えた達成感〔ほか〕
著者等紹介
重金敦之[シゲカネアツユキ]
1939年東京生まれ。慶応大学卒業後、朝日新聞社入社。「週刊朝日」編集部在籍時に池波正太郎、松本清張、結城昌治、渡辺淳一など多くの作家を担当した。大学教授を経て、現在は文芸ジャーナリスト。食の分野にも造詣が深く、料理に携わる人たちからの信頼も厚い。日本文藝家協会、日本ペンクラブ、食生活ジャーナリストの会各会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たかやん
14
編集者時代には池波正太郎・松本清張らを担当した著者による2011年3月から1年間の時事エッセイや書評を纏めたもの。意外と震災の記述は少なめ。著者の食への造詣の深さにはついていけなかったけれど、小説や流行言葉の話題ほど面白く読む。「小説とは、つまるところ行間の中に登場人物の「息づかい」をどこまで感じるかだろう」の一文に対して、小説の魅力をこれ以上端的には言い表せないのでは、と感心します。ちなみに著者によると、作家と同じように破滅型編集者というのも存在するのだそうです。2020/05/28
メガネ
3
「編集者の食と酒と」という本で、著者の食と酒に関する造詣の深さとちょっと辛味の効いたエッセイを楽しんだのですが、今回も食に関する話題も含みながら、様々なテーマでエッセイが纏められています。今回の主要なテーマは「震災後の日本」。震災後の一年間の記録を通して、社会や文化など様々な視点で批評しています。特に著者がシルクロードに旅したエッセイは印象深く、「ああ、こういう視点で物事を見ている人もいるんだ」と自分の目の前で起こっている事象を深く考え、本質を捉える力の必要性を感じました。気軽に読んでも楽しめる一冊ですよ2015/09/21