感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いくすけ
2
アイロニカルな没入のくだりは身につまされた。「反家父長的であるがゆえに、超家父長的になれてしまう」という議論が東浩紀「ゲーム的リアリズムの誕生」で出てきたが、それに通じることがらとして、対象と一定の距離を保っている(と思っている)がゆえに、異様にのめりこんでしまうというプロセスが、自身の経験の中にもあり深く共感する部分がある。だが、その没入によって何かを見失ったり、大きな弊害を生んでしまったりしないためにどうしていくべきかという問題を考えていきたい。(友達を作ろうとか、ナンパして恋愛しろとかではなくて。2009/06/22
awe
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かなり面白かった。大澤、北田両氏の思考を追っていて思うのは、「偉大な思想家の思考は、その軌跡を追うこと自体が楽しい」ということである。08年出版の本なので当然17年現在の情勢には直接的には対応していない。だから両氏の批評は「古い」。でも、全く色褪せていない。「賞味期限切れ」では全くないのだ。大袈裟かもしれないが、古典が現在でも読まれる価値があるのと同様の理由で本書も読む価値のあるものだと個人的には思った。2017/08/24
よこづな
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王様が裸なのを知らないのは、「全知の解釈者」(デイヴィドソン)だけである。歴史は「全知の解釈者」の無知によって可能になる。/ナショナリズムは、選択以前の選択(=宿命)であるがゆえに、過剰な自己責任を解除してくれる。2009/07/30
むぎ
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9.11に読了。ローティを使った『〈帝国〉』批判(アメリカ観の見直し)は印象的。彼らが提起していた北朝鮮に対する過剰な贈与なんて今とうていできてないですねぇ。構築主義に懐疑的な視点をもつというのが全体通して一番大きな学びだったかと思う。対談本は相変わらずブックガイドとしては助かるけれども、ぼちぼちトピックを絞った論考をあわせて参照したくなる感じ。本当に知りたい気持ちに応えるにはひとまずこういう本だけじゃだめなんだろな。これは本書に対する批判ではないけど、歴史哲学的な視点も個人的にはもう少し知りたかった。2018/09/11