内容説明
現代にあっても、洋の東西を問わず、儀礼の際になんらかのかぶりものを身につけることが多い。とくに、女性の婚礼時におけるかぶりものは、世界的規模でその事例をみることができる。いまや風習という以上の意味合いをもちえなくなってしまった角隠しやヴェールには、じつはその背景に、女性が顔を隠すことを求められていた数百年ないし数千年におよぶ歴史があった。女性の顔隠しの起源と文化的背景、その後の歴史的変遷を、日本、西洋(キリスト教)、中東(イスラーム)など、地域ごとに考察。かぶりものを通して明らかにされる女性の歴史。
目次
第1章 花嫁はなぜ角隠しをつけるのか(日本女性の顔隠しの始まりと被衣;近世における女性の顔隠しとかぶりもの;近代の婚礼におけるかぶりもの;花嫁はなぜ角隠しをつけるのか)
第2章 花嫁はなぜヴェールを被るのか(近世までの典礼時のヴェール;カーニヴァルの仮装と花嫁の顔隠し;花嫁はなぜヴェールを被るのか)
著者等紹介
増田美子[マスダヨシコ]
岡山県出身。1966年お茶の水女子大学家政学部被服学科卒業。1968年同大学院家政学研究科被服学専攻修士課程修了。現在学習院女子大学国際文化交流学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
23
7人の女性研究者が執筆。 角隠しの謎。 平安文学で顔隠しの風習があった(2頁)。 鎌倉時代では被衣姿(26頁)。 室町ではさらに顔隠しは顕著に(29頁)。 江戸では被り物まで登場(45頁~)。 寛文ごろから被り物が多様化(48頁)。 隠すという行為は、逆にいうと、 人目をひきつけるという両義性もある(79頁)。 確かに。 そうなってくると、家屋の障子の奥では? 2014/05/12
Kanae
2
ネタが他方に渡って面白いのに、前半が読みづらい。資料・引用が多いのでまとめにくかったんだろうとよくよく読むと、複数の著実をまとめたものらしいとわかって納得した。服飾、習俗の文化史的なので興味深かった。2012/10/06
メロン泥棒
1
タイトルと表紙から平易な内容を予想していたが、複数の専門家によって書かれた詳細な研究結果だった。内容としては花嫁に限らず、日本・ヨーロッパ・西アジアにおける女性の顔を隠す文化についてであり、非常に情報量が多い。例えば、日本の結婚式における白無垢は神道的な意味があり、白いかぶり物は仏教的な意味があるなど興味深い。また、顔を隠す文化から女性の社会的自立や性の問題に行きそうで行かないので、純粋に服飾の歴史として読むことができる。2010/06/12
ポテトちゃん
0
【全部読めてない】日本学術振興会の研究助成金(3年)を利用して、お茶の水大学等の先生7名が共同研究されて本にされたもの。メンバーのお一人の内村先生の本『ヨーロッパの服飾物語』の方がマニアックで、小話も多くって面白かった。今回はパラパラと読むだけになった。また時間のある時に読みたい。共著なのでテーマが広く、なかなか興味を持ちにくい内容。2016/06/12
Kei
0
前半より後半の方がはるかに読みやすかった。(慣れもあるのかな?) タイトル通り、というか、結婚式などで花嫁がヴェールを被っていたり、国変わると顔を隠すのが半ば義務のようになっている土地ー 何故彼女たちは顔を隠すのか?というのを、いろんな角度からつついていくというもの。 一言、まず面白かった。というのは、言ってしまえばたった布一枚のことかもしれないけれど、それがどういう意味を持つのか、というのが文化によって違ったり、というかそれだけのことなのにここまで深読み?出来るのか!とか。女って大変なのだな・・・2014/06/03
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- 和書
- 辻 新潮文庫