内容説明
ピアノ協奏曲が作曲されるためにはピアノフォルテが発明されなければならなかったように、土星の輪が輪として認識されるためには、精度の高い望遠鏡が工夫されねばならなかったように、「科学」・「文学」を問わず、わたしたちが「わかる」ためには、知覚し認識するための道具立て、枠組みが必要である。紙に書かれまた印刷された文字情報を超えて膨大な電子情報が飛び交う今日の知の土壌において、「知識」とは何か、「知識」を形づくっているものは何かを、英米文学を題材に問いかける。
目次
第1部 旅する知識(クジラ漁の始まったころ―『白鯨』と船舶位置確定;想像上の地図、想像力の地図―地図作成と文学に関する黙想;旅する歴史家―フランシス・パークマンの歴史記述における空間性と土地の記憶;馬車と自動車の攻防―ジョイス「レースの後で」の交通表象)
第2部 制度としての枠組み(萌えるキャラクタリズム―初期近代イギリスのテオフラストスとジェントルマン;起源付きのアメリカ―アメリカ哲学協会と“アメリカ的”知の枠組の成立;大学と諜報―知識の枠組みとしてのOSS/OWI)
第3部 エピステーメとしての「アメリカ」(黒い音楽、白い楽譜―スコット・ジョプリンのピアノ・ラグタイム;女性とホロコースト―ルスティクとオジックの小説を中心に;認識論と詩―デイヴィッド・ムラのうつろいゆく諸相)
著者等紹介
鷲津浩子[ワシズヒロコ]
筑波大学人文社会科学研究科教授
宮本陽一郎[ミヤモトヨウイチロウ]
筑波大学人文社会学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。