内容説明
短歌はこんな風に世紀を超えた。ニューウェーブから遠く離れ、ひたむきに短歌を捉えなおし、時代と自分の信念を真摯に切り結ぶ渾身の93篇。
目次
1 「未来」時評(99・6‐03・12)(朗読の背後にあるもの;加藤治郎と九〇年代;鎮魂としての歌;単独行の重み;近代の鬼子 ほか)
2 時評・歌集論(97・10‐07・12)(ブンガクになりたい病;試金石としての「たいらし調」;「無意識」に気づいた歌人たち;ふたつの定型観;「てにをは」が読めない歌人たち ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
25
#感想歌 結社でも個人法人意味違う個人は主筆全責任有 ネットでは軍と巨人が支配する無政府見かけ相互接続 文語無理古文授業に出てないし漢文存在未確認だし 落涙(おちなみだ)僕は俵が大好きだ子供を連れて放浪できる2017/04/28
はち
5
現在未来の選者でもある大辻さんの時評集。98年から2007年までの時評。当然私の知らない時代である。大辻さんはニューウェーブの三人や俵万智さんと同じ世代なのだが、歩んできた道は随分違うように感じる。特に穂村弘さんに対する発言は鋭く、その舌鋒の鋭さに驚かされる。そしてよく怒っている。ただ、ある時代の記録としては有効だと思うし、さらに長い時代を経て、史料として役に立つだろう。2015/03/04
yumicomachi
4
ほぼ全てが1998年から2007年の10年間、平成十年代に書かれた短歌時評的な文章である。その頃の歌壇や社会、世界の様相を思い起こしながら読んだ。インターネットの普及やフラットな口語短歌の隆盛、9.11、アフガン戦争。懐かしい感じもするが、現在の短歌シーンにも通じる鋭い問題提起がされている。穂村弘と彼が評価する歌人や作品に対する苛立ちが繰り返し表明されている点や、岡井隆を深く読んでいる所も興味深い。後書きにある通り「短歌はこんな風にして、世紀を超えたのだ」ということがよくわかる一冊。平成20年9月9日刊。2023/05/20