内容説明
米軍占領が始まると、人びとはジープに巻き上げられる砂塵のように、不確かな生活を強いられた。しかし、人びとはたんなる「砂塵」ではなかった。本書は東アジアの冷戦体制が形成されるなか、占領初期5年間の沖縄の政治社会がどのように形成されたのかについて、社会変容や政治意識、米軍との交渉、アメリカの対アジア政策との相互作用に焦点を当てて分析。戦後沖縄の原点を、冷戦下の国際政治と沖縄自身の政治社会という両面から見直す。
目次
序章 占領と政治社会―東アジアのなかの沖縄
第1章 戦闘から占領へ
第2章 猫と鼠
第3章 占領初期の社会変容
第4章 政治組織の形成
第5章 東アジア冷戦体制の形成と沖縄―NSC13の世界
第6章 「シーツ善政」―朝鮮戦争前夜の沖縄
第7章 自主沖縄―占領初期沖縄における政治社会
終章 「荒涼たる風景」のなかの問い
著者等紹介
若林千代[ワカバヤシチヨ]
1966年広島県生まれ。津田塾大学学芸学部国際関係学科在学中、単位交換派遣学生として沖縄大学で学ぶ。津田塾大学大学院国際関係学研究科博士後期課程修了。博士(国際関係学)。現在、沖縄大学法経学部教授。季刊『けーし風』編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
10
沖縄戦終結後1945-50年に焦点を当てた沖縄現代史。米軍占領下での社会の変容、占領統治機構の形成と軍民関係、人々の政治意識の覚醒と自主的な政治の形成、東アジアにおける冷戦の構造や力学との相互作用についての考察。アメリカによる琉球諸島の長期保有と基地拡充の意思決定の過程、沖縄人民党による基本法制定の為の議会設置や土地開放の要求等。沖縄の苦難の歴史のほんの一端が記録されているに過ぎないが見逃せない話ばかり。しかしさすがに瀬長亀次郎の存在感は際立つ。 2016/11/01
Y_Kuroyanagi
1
20200329ー202005022020/05/02
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- 和書
- いま、部落史がおもしろい