内容説明
「英雄的ベトナムの母」―それはベトナム戦争において、革命戦士である子どもを戦闘で亡くした母親に対して国から贈られる栄誉称号である。だが、長きにわたるアメリカとの戦争のなかで、国土全体が戦場となったベトナムの女性は銃後の存在に留まっておらず、自ら銃を持って戦うと共に、その子ども達を戦場に送り出してきた。母もまた戦士だったのである。本書は、この「英雄の母」たちへのインタビュー調査によって、その戦い方を明らかにしながら、戦後ベトナム社会での「英雄としての母親」顕彰の問題を考える。
目次
プロローグ(ベトナム戦争と母の物語;戦争と母への視線;調査と研究の方法)
1 「英雄の母」とは何か(博物館を巡りながら;戦争傷病者・烈士記念日;「英雄の母」のモニュメント)
2 「英雄の母」たちの語り(「英雄の母」たちの戦争体験;「英雄の母」を生み出す歴史と社会―「体験」の語りから見えてきたもの)
3 コンダオ刑務所と戦争顕彰(コンダオ刑務所の政治犯たち;元政治犯ニャンさんの語り;コンダオ島へ;戦争遺跡の顕彰)
4 その後の戦争と母の顕彰(カンボジア戦争と母たち;2012年の法令改正)
エピローグ 英雄の時代の終焉(英雄の死;英雄の増加;「英雄の母」たちの行方)
著者等紹介
京樂真帆子[キョウラクマホコ]
1962年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程学修退学。茨城大学人文学部助教授を経て、滋賀県立大学人間文化学部教授。京都大学博士(文学)。専門は、平安京社会史、および日本女性史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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