内容説明
一九三〇年代以降、満洲事変から満洲国建国、日中戦争、アジア太平洋戦争へと東アジアは激動の時代を迎える。そのなかで東アジアの知識人たちは、それぞれに戦争への向き合い方を模索していき、ファシズム思想や社会主義思想、東亜協同体論など様々な思想が交錯する。そして、転向して戦争協力へと進む者、戦争や植民地支配に反対し抵抗の道を選ぶ者、あるいは日本への戦争協力を民族のためだと自己欺瞞していく者など、知識人たちは複雑な軌跡を描いていく。様々な「知」の交錯と対立・融合を描き出す戦時下の思想史。
目次
1 昭和維新と農本主義(橘孝三郎―日本の“救済”を追究しつづけた農本主義者;北一輝―「中国」そして「亜細亜」 ほか)
2 社会主義の思想(陳独秀―永遠なる反対派;白南雲―普遍としての“民族=主体” ほか)
3 転向・協力・抵抗(市川房枝―「帝国のフェミニズム」の陥穽;崔麟―ある「モダンボーイ」の肖像 ほか)
4 満洲建国と東亜協同体論(三木清と尾崎秀実―孤立する知識人と「東亜協同体論」;石原莞爾―ドイツ軍事史研究から最終戦争論へ ほか)
5 非転向と粛清(明石順三―知識人の信仰と責任;金天海―在日朝鮮人大衆と共に生きた社会運動家 ほか)
著者等紹介
趙景達[チョキョンダル]
1954年生まれ、千葉大学文学部教授、専攻:朝鮮近代史
原田敬一[ハラダケイイチ]
1948年生まれ、佛教大学歴史学部教授、専攻:日本近代史
村田雄二郎[ムラタユウジロウ]
1957年生まれ、東京大学大学院総合文化研究科教授、専攻:中国近代思想史
安田常雄[ヤスダツネオ]
1946年生まれ、神奈川大学法学部特任教授、専攻:日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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