内容説明
われわれは「戦後という時代」を生きてきた。さらに言うならば研究者としては、戦後歴史学を生きてきた。歴史は「言葉」によって構成され語られるが、戦後の歴史学が創り出した「言葉」の多くは、六十余年の戦後史の中で、その意味合いを変化させ、新しい「言葉」によって取って代わられた。第1部は、われわれが依拠してきた「言葉」、われわれを縛ってきた「言葉」を、いくつか選び出し、その変化の意味と内容を問い直そうとする試論を集積したものである。そして、問い直しの主体であるわれわれ自身を、戦後史の大きな流れの中に位置づけて「自問自答」したのが第2部であり、第3部は、本シリーズを担うために組織された「戦後派研究会(略称)」の歩みの中味を、研究会『会報』をもとに確認しながら、「われわれは本シリーズを真の意味で担うことができたか」を問おうとするものである。そして最後の第4部には、戦後歴史学主要文献目録を掲載する。
目次
第1部 戦後の歴史学と「言葉」(近代主義と近代主義者;「アジア的」とアジア主義、そしてオリエンタリズム ほか)
第2部 戦後の歴史学と私の研究史(伊集院立―私の研究彷徨記;伊藤定食―近代ヨーロッパ再考の試み ほか)
第3部 実録「戦後派研究会」の歩み(「戦後派研究会」の発足から「3・11」まで;「3・11」を直視し、本シリーズの刊行を開始する ほか)
第4部 戦後五〇年の歴史学文献と解説(一九四五~一九五〇年;一九五一~一九五五年 ほか)