内容説明
明治維新は、国際的孤立をしていた「鎖国日本」と西洋近代との関係だけで起こった現象ではない。近世日本が組み込まれていた東アジアの国際関係ネットワークとそれぞれの社会が欧米列強の圧力を受けて変動を経験したのであり、その日本列島における現象が明治維新だったのである。本巻は、このような世界史的視野から明治維新をとらえ直し、ペリー来航に至るまでの近世日本の政治・社会の変化を再考して、新しい明治維新史を展望する。
目次
総論 世界史のなかの明治維新
1 ペリー来航以前の国際情勢と国内政治
2 幕末の対外情報と在地社会―「風説留」から見る
3 武装する農民の内憂と外患
4 幕末・維新期における帝政ロシアと日本
5 異国船の琉球来航と薩摩藩―一九世紀の東アジア国際関係と地域
6 幕末・維新期の松前蝦夷地とアイヌ社会
7 一九世紀前半日本における「議論政治」の形成とその意味―東アジア政治史の視点から
8 一九世紀東アジアにおける外交規範の変化―儀礼と言語