目次
お父さんのつば(唇)はまっ白になって
もう人間の形じゃなか
あん死体は忘れられん
天皇陛下が降参ていわっさんもんで(言われないから)
うらかみ ん いえに かえり たか…
製鋼所は鉄の墓場 人間消えとっ
兵隊の着物の袖みたいに皮が垂れさがって
髪のとれたとは被爆のあれじゃなかか
みんなふやけたごとなって 水ぶくれ
長崎全体が幽鬼の世界じゃもんで
おかあさん はやくきてよ
みずう みずう て
おなかの破裂すっと プスていう
顔は倍以上にふくれあがって まっ黒になって
化粧瓶もなんもみんな飴
走るかっこうで炭になって 立っとっとですよ
ピカッ 熱か 熱っ 熱っ 痛ってして
上から柿の実の落ちてくるごと(ように)
承前
結び
著者等紹介
中原澄子[ナカハラスミコ]
1929年佐賀県伊万里生まれ。1946年熊本県立本渡高等女学校、1950年京都女子専門学校(現・京都女子大学国文科)卒業。個人詩誌「地平」発行。福岡県詩人会会員。原爆文学研究会会員。日本詩人クラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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