内容説明
フランツ・カフカの傑作短篇をアニメーション作家山村浩二が映像化!田舎医者の孤独と不安、そして絶望を描いた本作をもとに、幾重にも重ねた原画によって見事なまでに描き出した、幻惑の世界に誘う山村浩二渾身の傑作。
著者等紹介
山村浩二[ヤマムラコウジ]
アニメーション作家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
34
アニメーション映画『カフカ田舎医者』を山村浩二自らが絵本化。奇妙な物語は奇妙さを少しも損なうことなく進んでいき、最後まで貫かれる。決して難解なのではなく、彷徨わされるのだ。絵本冒頭に引用されたカフカの言葉が、夜の猛吹雪を照らす小さな灯りのように見えて心強い。読了後にアニメ版を観たのだが、アニメ版はさらに謎めいている。山村の解釈がイマジネーションとなってアニメーションとしての試みとなっているので、観客はより翻弄されるのだ。(つづく)2024/08/15
草食系
20
異様で不気味なイラストとカフカの文章が合わさって、奇妙な迫力で迫ってくる。この短い世界でなんでこんなに怖いんだろう。世の中に対する諦めと怒り、彩られた絶望、第一級の陰欝さで、なんだか感心した。瀕死の少年と医者の会話の場面では、絶望が納得に変わる旅立ちを描いていて、明るさも希望も徹底的に不要としている。凄いなあ。2013/08/24
空猫
18
短編アニメを絵本化したもの。相変わらず主人公が不条理な災難に巻き込まれるのだが、そのイビツな世界が見事に表現されている。音、声、臭い、寒さ、困惑、葛藤…それらが手に取るように感じられ、さらにカフカの世界だけでなく挿絵も翻訳された日本語もあとがきも全て堪能できる、そんな贅沢な一冊。訳者あとがきで、少年の傷口を「薔薇(ローザ)色」とした理由が書かれていた。これが解っただけでもお釣りが来るというのに。無料版ばかりで読んでちゃいけないねぇ…2016/03/23
とまつ
11
アニメーション作家・山村浩二の映像作品が絵本となっている。原作はフランツ・カフカの短編作品。カフカにそれほど詳しい訳ではないが、なんとなく持っている自分のカフカのイメージに、この絵はピッタリ当てはまっている気がする。不気味だがどこか可笑しく、思わず読み入り、見入ってしまう。これは映像の方も観てみたい。2014/10/31
yk
6
お~。カフカってすごいな~。衝撃的な本だ。2021/05/03
-
- 和書
- 近世浅草寺の寺法と構造