内容説明
破天荒作家、山田多賀市への旅。甦れ大地。野の花のように勁く!第59回農民文学賞受賞作品収載。
目次
第1部 山田多賀市への旅―農民解放と文学(序 言葉たちに誘われ;ふるさと安曇野 ほか)
第2部 山田多賀市の新境地―経済成長と農民文学(事業の成功と挫折;親友で好敵手の熊王徳平と共に ほか)
第3部 信念の筆を最期まで―老いと文学(「老人日記」;愛弟子・備仲臣道 ほか)
第4部 山田文学・農民文学を見つめる(文芸評論家・南雲道雄;村上林造教授の研究 ほか)
付論 農民文学への熱い思い(現代的展開)
著者等紹介
三島利徳[ミシマトシノリ]
1947年長野県下伊那郡豊丘村生まれ。村内小中学校、飯田高校を経て、1970年静岡大学人文学部卒業。同年、信濃毎日新聞社入社。本社報道部、更埴支局、臼田支局を経て、1984年から文化部(デスク、部長)。文化部では書評などを担当し、2001年から論説委員を務め、社説や1面のコラム「斜面」を執筆した。2012年退職。現在、長野県カルチャーセンターの「文章を書く」講座講師。清泉女学院短期大学および長野赤十字看護専門学校非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
30
工事場では、ばくちがはやっていた。健助はばくちにはなじめない。給料をもらうと、赤穂の町に行って、コイの煮つけと飯を腹いっぱい食べ、町の本屋で買いたい本を片っぱしから買った。名古屋の伯母の家で本をたくさん読んで以来、本を読む機会に恵まれなかったからだ。ばくちよりも本―。山田多賀市自身の価値観だろう(26頁)。作家は民衆よりも一歩ずつ先に進んで、民衆は何を求め、何を考えているかを意識してそれを与えることの必要を説く。作家は民衆の世話役だ。だから、民衆の前で自分のざんげや泣き言、ノロケは言いたくない(37頁)。2018/03/12