内容説明
坂口安吾の文学について坂口安吾の内部には、時代の本質を洞察する文明評論家と豊饒なコトバの世界に遊ぶ戯作者とが同居しており、それが時には鋭い現実批判となって国家権力の独善や欺瞞を糾弾し、時には幻想的なメルヘンとなって読者を耽美の世界へと誘導する。安吾文学の時代を超えた斬新さ、詩的ダイナミズムの文章力、そして何よりも、奇妙キテレツな人間どもの生きざまを面白おかしく説き明かす“語り”の巧さ、などの魅力の秘密もそこに由来している。
目次
倫理としての「堕落論」
小説の神様・志賀直哉批判
女体の神秘「白痴」の世界
自伝的小説という名の虚構
教祖・小林秀雄への挑戦状
「桜の森の満開の下」の手法
盟友・太宰治への鎮魂歌
純文学作家の本格推理小説
飛騨のタクミと魔性の美少女
安吾史譚・柿本人麿の虚実
サスペンス・ドラマ「信長」
巨漢・安吾の褌を洗う女
安吾、全裸の仁王立ち
未完の長篇「火」の破綻
負ケラレマセン勝ツマデハ
無頼派作家の変貌と凋落
風雲児・安吾逝く
著者等紹介
相馬正一[ソウマショウイチ]
昭和4年(1929)、青森県に生まれる。弘前大学卒業。弘前大学非常勤講師、上越教育大学教授、岐阜女子大学教授を歴任。現在、岐阜女子大学名誉教授。専攻は、日本近・現代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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