内容説明
「一頁二首、見開き四首」という啄木の編集を再現し、その意図をわかりやすく解説した独自の注釈。啄木研究100年の成果を踏まえた解題。さらに使いやすさを極めた索引と歌番号。どの角度から見ても、本書はこれからの『一握の砂』鑑賞・研究の定本となるものです。
著者等紹介
近藤典彦[コンドウノリヒコ]
1938年北海道旭川市生まれ。1964年東京大学文学部国史学科卒業。1966年同大学人文科学研究科中退。北星学園余市高校、成城学園中学校、同高等学校教諭を経て、1995~2004年群馬大学助教授・教授。2003~2007年国際啄木学会会長。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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彼岸花
18
天才と呼ばれながら、わずか26歳の若さでこの世を去った啄木。私は、彼の短歌の「わかりやすさ」に、とても親近感を覚えます。それは、誰も成し遂げたことがない特色で、同時代の歌人と比較すれば明らかです。生涯が貧困だった故、歌の色彩も同じて暗く、望郷は、誰もが離れて感じる回顧のテーマです。借金を重ねてまで芸者遊びは現実逃避でしょうか?最後の、息子に先立たれた惜別の歌は、親としての人間啄木の真の姿を感じました。長生きしていたら、宮沢賢治のように、小説も書き溜めたことでしょう。青春真っ只中に、消えし愛しき君かな。2019/04/08
koko
0
一握の砂というタイトルは聞いたことがあった。しかし、手にとってみたことはおろか内容について何一つ知らなかったので読んでみることにした。 浅学で恥ずかしい話ではあるが、小説だと思って本を開いてみたら短歌だったのでびっくりした。 古典の授業ぶりに触れる表現などに苦戦しつつも読み進めていくと(もっとも諦めてすっ飛ばした部分もままあるが)、その時代にの暮らしや啄木自身の気持ちが思い浮かべられた。軍国主義時代の日本の息苦しさと、その中にある牧歌的な雰囲気を感じた。 しかし私にはまだこの本は早すぎたようだ。2019/10/07