目次
1 フランス大衆小説研究動向―1990年代を始点として
2 大衆小説の「詩学」―「犠牲者小説」を中心に
3 エミール・ゾラ『マルセイユの秘密Les Myst`eres de Marseille』―大衆性と文学的価値
4 大衆小説とパンクロック・カルチャー―パトリック・ウドリーヌとヴィルジニー・デパントの場合
著者等紹介
宮川朗子[ミヤガワアキコ]
名古屋大学大学院文学研究科仏文学専攻博士課程後期課程単位取得満期退学。グルノーブル第3大学博士号(文学)。広島大学大学院文学研究科教授
安川孝[ヤスカワタカシ]
明治学院大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士課程中退。リモージュ大学博士号(文学)。明治学院大学、東洋大学、白百合女子大学、亜細亜大学、津田塾大学非常勤講師
市川裕史[イチカワヒロシ]
東京大学大学院人文科学研究科仏語仏文学専攻博士課程満期退学。モンペリエ第3大学(ポールヴァレリー大学)フランス文学フランス文化学科第3課程中途退学。津田塾大学学芸学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ラウリスタ~
9
素晴らしい共同作業。特に安川による第一章が、フランス大衆小説研究の素晴らしい先行研究整理になっているから必読。第二章は同じく安川が「犠牲者小説」(博論のテーマのよう)にテーマを限定して、クエニャ(大衆文学には特有の文体がある)とコンペール(大衆文学と正文学を分けるのはただ制度だけ)の二つの代表的理論の間で、クエニャの論を支持する方向性で、大衆文学を正文学と隔てる物語論的特徴を考える論文。宮川は三章で、ゾラ『マルセイユの秘密』の連載版から18年後の書籍版への書き直し、特に削除に注目し非大衆文学化作用を探る。2020/12/25
Susumu Kobayashi
6
最近の興味とどんぴしゃりの本。日本におけるフランス大衆小説研究の現状がわかる。やはりまだ始まったばかりで、やることはたくさんある。それにしても、完全版と謳われていても必ずしもオリジナルそのままではないらしいと知ってびっくり。あの『黄色い部屋の謎』も流布しているリーヴル・ド・ポッシュ版もオリジナルとは違うという(p. 38)。初版オリジナルを探さなければならないのか。2020/02/14
ヨシツネ
1
フランス大衆小説もルーザーを書くというのはライトノベルに似る傾向ではないか。ミメーシスでもあり画一的て正統とは文学手法に変わりがないことも含めて2019/10/22