感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mii22.
71
むかし、宝冠をかむった小鳥の侍女がいたという。若い大公妃は孤独だった。小鳥の侍女は大公妃に寄り添い支えた…今ではそんな小鳥の侍女が本当にいたのかどうかもわからない。すべてはいずれ消滅してゆく。せめて美しい記憶は消滅しないでほしい。廃墟の暗がりに仄かにひかりを放つものは、城館の上てひらめく翼の影のようなものは、そして蔓草の宝冠は、今はどこに。 2020/11/08
ぐうぐう
34
山尾悠子の掌篇「小鳥たち」にインスパイアされ、中川多理が人形を創り、それを受けて山尾が「小鳥たち、その春の廃園の」を書き、また中川が人形で応える。小説と人形の至福の往復により生まれたのが書籍『小鳥たち』であった。二人の創作は、さらにもう一冊の本を生み落す。それが本書である。『翼と宝冠』は、「KOTORITACHI-extra」のサブタイトルが示す通り、『小鳥たち』の外伝であり、序章にして、その完結を意味する物語だ。本書の最大にして重要な点は、豆本として刊行されたことだ。(つづく)2020/03/17
千景
7
昨日ついに開封の儀を行いました。豆本。 むかし、宝冠をかむった侍女がいたと言う。若かりし老大公妃は彼女を大事に匿っていた___本当に、実在したのか?さぁ。我々だって実在しているか、定かでないのに。 幻想的な情景が目に浮かぶ、さすがは山尾悠子の作品。2021/02/28
凛風(積ん読消化中)
6
新刊発行のお知らせに、豆本とは知らずにポチっとしたので、はじめは、空の封筒が届いたと思った。例年、2月3月は休みなしで、ヘトヘトになるのに、今年は降って湧いたコロナ連休で、不透明さに凹み気味だったけれど 、豆本とは言え、さすがの山尾さん、透明感バツグン。噴水のキラキラと、華奢な侍女の物語は、まさに一服の清涼剤。にしても¥2200は、ちょっとね。分かりますよ。豆本の方が大変なのはね。でもね、32ページだからね。とは言え、ガッツリ「小鳥たち」の外伝になっているのは、さすが。2020/03/15
うさぎや
5
「小鳥たち」のはじまりのエピソード。そうしてすべてが消えてゆく。あまりにもうつくしく。2020/03/15