感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
20
孤立気味の「公認」された物差しから外れて生きづらさを内包している主人公が思わぬ理解者や助言者を得て再生していく物語を特に若い作家さんの筆として読むと、ああ「昔ばなし」のDNAは生きていると不思議な安堵を感じる。本書は油断すると消えてしまいそうな口承文芸としての昔ばなしに光を当てた代表格のおひとりである作者の昔ばなし論。昔ばなしの性質とそれを口承で伝える事の意義に特化して論じているのでとても分かりやすい。昔ばなしでは正直でも勤勉でもないが親切でやきもち焼きや人真似をしない者が大概最後に幸せになる。面白い♪2021/12/16
まあやん
3
買うだけ買って読んでなかった本。表紙の感じが難しそうと思ったが、小澤先生のいつもの語り口で語られていて分かりやすかった。日本の昔話の特徴が目新しく興味深かった。私たちは伝承の途中にいる、昔話を子どもたちに語ることの大切さを再確認できた。2013/05/07
mogihideyuki
1
伝説は「ある」もの、昔話は「聞く」もの。伝説は土地と時代を特定し、権威を支える。昔話はそれほど遠くない昔、それほど遠くないどこかの、身近な人に似た、自分と同じ暮らしをする人たちの話。そこにはその時々の価値観に左右されない、普遍的な生きる知恵が伝えられている。土地言葉で語ることが重要ではあるが、海外の文化が生活に入り込んだ現代では外国の昔話も自分たちの昔話になりえると著者は言う。そして世界中のどこでも、「人は家庭をつくって以来、語ることをやめたことがない」(クルト・ランケ)2018/06/07