内容説明
世界最古の文芸批判の書ともいわれるアリストテレス『詩学』。その中でアリストテレスが一番注目している「ミュートス」という概念については、なぜアリストテレスはそれまで「神話」「伝説」を意味してきた「ミュートス」を「プロット」の意味で使うことができたのか、またアリストテレスが論じているミュートス概念とは実際何なのか、議論が絶えない。本書では、アリストテレス以前に使用された約800箇所をあたるなど、語義研究をふまえるという新しい手法を用いて、『詩学』におけるこの語が、どのような歴史的背景を背負った言葉であるのか、そしてその概念とはいかなるものなのかを解き明かしていく。
目次
第1章 『詩学』におけるテクスト内在的解釈の可能性(『詩学』におけるミュートス;従来の研究における解釈と訳語の問題 ほか)
第2章 ミュートスの歴史的変遷と語義を支える三つの特徴(ミュートスという語の構造;辞典によるミュートスという語の意味 ほか)
第3章 プラトンにおけるミュートス
第4章 プラトンからアリストテレス『詩学』へ
第5章 『詩学』におけるミュートス概念(「詩作」と「歴史」の問題;「歴史」の特徴 ほか)
著者等紹介
小川彩子[オガワアヤコ]
2002年聖心女子大学文学部哲学科卒業。2003年学習院大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程前期課程修了。2007年学習院大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士後期課程単位取得満期退学。4月より学習院大学文学部哲学科非常勤講師。2009年学習院大学より課程博士(哲学)の学位を取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 和書
- 歴史を学ぶ心 国民文庫