感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
PAO
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カズオイシグロの「浮世の画家」を読んで戦争協力画家への考察が物足りなかったのでこの本を読みました。19世紀後半に西洋美術を採り入れた日本にとって基本たるアカデミズムを端折ってモダンアートに追いつこうとしたため西洋美術の伝統に欠落感を抱え込むことになり、その欠落感を補う千載一遇の機会が「戦争画」であったという意見は斬新ですが同感です。この戦争で「大観を生かし、藤田を追放し、靉光を殺した」日本美術界には栄光の日々は訪れはしないという呪いが永遠にかけられてしまったことは自業自得ながら本当に残念でなりません。2018/01/26