内容説明
犬の涙、犬の悲鳴…を知っていますか?実験動物との対話を通して生命の尊厳に光を当てた一冊。動物実験の現場で悩み闘いつづけた生命の物語。
目次
第1章 黎明(実験助手時代;公務員一年生)
第2章 転機(アンとの出会い;真のテクニシャン ほか)
第3章 墓参(イギリスへ;初対面 ほか)
終章 未来へ(実験動物の環境改善;キャサリン・ロスの手紙 その二 ほか)
著者等紹介
佐藤良夫[サトウヨシオ]
大阪府堺市生まれ。大阪大学医学部で、長年動物実験にたずさわる。アン・ロスに出会って、実験動物に対する福祉に目覚め、環境整備の改善、福祉精神の普及などに活躍する。現在、HP『カタカナの墓碑』を運営すると同時に、講演活動などにも活躍
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感想・レビュー
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hanagon44
21
『ありがとう実験動物たち』で紹介されていた1冊。朴訥な文章で淡々と綴られています。196~70年代の日本における実験動物の扱いは筆舌に尽くしがたい悲惨な状況。小屋も食事も最低最悪の地獄で,医療の発展に寄与するための犠牲になる命に対して何の敬意も配慮もなくぞんざいな扱い。それを知ったイギリス人アン・ロスが単身で来日し尽力するも,意識の低さに国際度の低さも相まって,虚しい中で孤軍奮闘する姿に胸が潰れる思いがしました。志半ばにして体を壊し祖国に帰り亡くなった彼女の残した思いが今もまだ改善を望んでいる気がします。2015/08/29
今庄和恵@マチカドホケン室コネクトロン
3
信念を持った人の啓蒙というのはほんとうに力強い。それがなければ人は暗黒に閉ざされたまま。何事も当たり前と思わず、どこかおかしいのでは?という視点をもって改善する姿勢を失わないように、と自戒。2017/04/02