内容説明
丹念な文献調査とフィールドワーク、聞き取り調査から見えてきた朝鮮人とアイヌ民族の知られざる関わり―。“近代アイヌ史”“在日コリアンの形成過程の研究”に新たな視点を提示するとともに、帝国主義下の先住民・被植民者・マイノリティの間に形成された、多様で重層的な社会の歴史をも捉えた画期的論考集。
目次
第1章 前近代期における朝鮮人とアイヌ
第2章 近代期における朝鮮人とアイヌ
第3章 近代期の朝鮮人労務動員とアイヌ
第4章 記憶の表象の暴力
第5章 先住民支配と植民地主義
第6章 サハリンにおけるアイヌと朝鮮人
第7章 戦後におけるアイヌ民族と朝鮮人
第8章 帝国主義の残滓―忘却の力学
著者等紹介
石純姫[ソクスニ]
1960年東京生まれ。中央大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、苫小牧駒澤大学国際文化学部教授。東アジア歴史文化研究所所長。大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ドラマチックガス
5
前半は非常に興味深く、勉強になった。ただ、途中から、これタイトルと関係あるか? ということが増えてきた。遺骨の話とか、これはこれで興味深いけれど、この本に一緒にしなくてもよかったのでは……全8章構成で章の中に項だてというか、区切りがたくさんあり、話の流れがそこで途切れてしまうことが多く、「さて、何の話だっけ?」となることが多かったのが残念。もっと包括的なタイトルにして論文集とした方がよいのでは。僕自身の関心は、最初の3章だけで満たされた。そこは満足。2020/09/09
金宗泰
1
ロシアや中央アジアに流れた朝鮮人の話はちょこちょこ聞くが、まさかアイヌとも接点があったとは。命を大事にするアイヌの教え、マイノリティー同士の助け合いもあり、同時にマイノリティー内にも差別はあり。在日韓国人同士でも陸地出身か島出身で差別があったのと似ている構図。日本敗戦時の気持ちや当時の徴用や強制連行の事実について体験者やその子孫から直接聞き取ったインタビューはほんとに貴重。2023/08/06